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エッセイのようなもの

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雑記からはみ出た、やや長めのもの。テーマを決めて書いているもの。
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2017年4月の記事一覧

東京、22時。

東京、22時。

乗車している電車と並行して走る、すし詰めの車両を見ていた。今日一日を過ごしてきた人々の、疲れた顔が並ぶ。どの表情も、感情を押し込めた「のっぺらぼう」のようで少し恐くなる。東京、だけではないのだろうけれど、これがこの街の日常だ。そう感じてから、ふと思う。

のっぺらぼうだ、なんてレッテルを貼ってしまった彼らひとりひとりの、今日一日を当然ながら私は知らない。朝のラッシュに加え、夜にまで遅延によりパーソ

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風景からはじまるうた

風景からはじまるうた

言葉がやんわりと浮かんでくる瞬間というのは、私にとっては風景に触れて、何かが響いたときが多い。

心の琴線とは、とても素敵な言葉だと思う。音楽を奏でるかのように、繊細な弦が共振する、震える様子が目に浮かぶようで美しい。

ぽろんぽろんと鳴るような。和音を奏でられるほどできた琴ではないと思うけれど、私の中にもそのようなものが一応は備わっているのでしょうか。拙いなあと思いながら、内側の音に導かれて言葉

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そんなふうに強くはなれないから

私が、どうしようもなく惹かれてしまうひとがいる。
正確には、憧れなんだと思う。

小心者なので基本的には優しい人が好きではあるけれど、自分を強く強く貫いている(少なくとも私にはそう見える)ひとに、どうしようもなく焦がれてしまうことが多々あるのです。

意に介さないというのが、そういうひとたちに私が見る強さのひとつ。他の誰が何を言おうが、何を思われようが、それは意に介さない。横文字的にいうと "No

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表現する、ということとの出会い - その2

前回、それまでいたエンターテイメント寄りな世界で違和感と行き詰まりを感じていた私が、より表現することに重きを置いた踊りと出会った、というところまで書かせていただきました。

表現する、ということとの出会い - その1

コンテンポラリーダンスコンテンポラリーとは完全なる初めまして、というわけではなかったのですが、その新しい扉と本当に向き合おうと思ったとき、私はそんなに若くもなかった。

本当に岐路

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