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内藤 奈美
2023年1月20日 15:44
星の街繁華街のぎらぎらしたネオンも昼間は身を隠しているから、雑踏の只中でもどこか心許なく、そうして星を待つのがわたしたちだ。地上に生えた、めらめらした揺らぎは太陽の下で皮膚の内側に宿ります、浸潤して、血管を巡って、排気ガスを吐くようにやがては人から人へ循環する、触れ合った肩だって冷たい、かもしれないので、不純物を箱に詰めた祝福の、呪い、それが、てらてらとかがやいて見えるのは色眼鏡のお陰でした、
2023年1月16日 18:34
雨の降る部屋猥雑なテレビも部屋の明かりも消すと、冷蔵庫の低い唸りと時計の針だけが音を支配する、誰かを傷つけてしまった夕暮れ、嘲笑うように雨は降り出し、傘を持たないぼくの上着に浸水する準備をさせた、数刻前のあの水滴が滲み出して、今さらのように足下には水溜りができている。長い長いセンテンスを振り返れば、なぜ、も、どうして、もそこにあるのに、知らない振りをするから日々に自分が溶けていく、ぼくにはも
2023年1月5日 19:03
夜間高速、疾るうたかた葉脈に水を通すように侵食、這いつづけ温度を運ぶ(或いは運ばない)ひかりの流線は都市の青い血管つめたさが肌を刺し神経は撫でつけられ絶え間なく 伝達を繰り返す埋まらない隙間記憶の距離に数値はなく(交通情報をお伝えいたします)抑制を効かせた感情誰でもない何かに向かい車体は、無機質に滑る手をのばした指先の 沸騰した黒い深いアスファルト、駆け
2022年12月28日 17:51
浮く耳なんでもないからここにいたんです。痛いのは耳冷たい夜気スピーカーから流れる電子音のノイズ電流が乱れると音量が振れるのまるで心霊現象みたいに。驚かないでください調光器が不安定なんです少し不安なだけなんです安定を切り離したら定まらなくなっただけなんですあなた、どこにいたんですか。だからね、なんでもないからここにいたんです意味が必要だったんですか意義が求
2022年12月25日 11:19
巡、それだから眠れなくて書き記す、ぼやけた思考が巡回している、きみはここにいた、その確らしさを求める数式には出会えなくて、「これは証明の問題ではありません」 言葉という記号すらも解体してしまいたい、表音の、裏側に、表意、憑依、されてしまった意図が、この文字列の表皮に爪を立てて、掻きむしる、快感と自責は隣り合わせだ、いつだって四隅を埋められなくて、ぱたぱたと真っ黒に染まってゆく盤面、ただ、こうし
2022年12月22日 22:59
カウント零はたはたと風を鳴らして鳥は去る窓枠の形に切り取られた空いくつかの影を追う、二秒ひらひらと手を振り別れる視界から消えたわたしがあの子の手元のスマホ画面に存在を忘れられるまで、一秒古いレコードの針が刻まれた溝を撫でなかった黒い刻印に封じ込められたままの、零秒。塗り替えられていく再開発の駅前に横たわっていたあのひとは今はもう、いない消え
2017年8月16日 10:31
街灯しろい光が放射状に落ちてくる見上げる私は堕ちていく平等という不平等 に等間隔のしろい渦は巻き込んでいく すべて光源は見えない曇る視界は死海波間では輝きに溺れるいつかの夜 浮かび漂う 風葉擦れの おと人間の、性 ──射抜く サスペンションライト 生という舞台上で私は蠢く影になる 鼓動は隣り合わ