こんにちは、私
吐き出したいのは事実ではなく心である。
誰かに聞いて欲しい、けれど誰にも言えない。
口にだした直後の相手の顔を想像するとなかなか言い出せない。
このままでは何も変わらないことはわかっている。
苦しみが続くことも。
勝手に言い出して負担を少しでも減らそうとするのは虫がよすぎるのではないか。
そう考えるとさらに息がつまる。
噛み砕たれた言葉たちが意味を成さなくなる。
そこに彼女が現れる。
まさに救世主。
柔らかな仕草と温暖な雰囲気に中心から解凍されていくのがわかる。
なんだろうこれは。
飽和した全細胞が幸福を叫んでいる。
吐き出した心。
刹那、苦悩が浄化されていく。
何をするわけでもないのに彼女に打ち明けるだけで身体が軽くなっていく。
さらば、幻想よ。
ようこそ、現実。
私は私でしかない。
彼女が彼女であるように。
澄みきった眼球が世界を捉える。
真っ白なキャンバスに色を添えるのは私の仕事だ。
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