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初めての気絶
(無駄に長い文章ですので、適当に流し読みで是非)
2020/11/05/
気絶さんがオープンされてから、一年以上が経ち…
実は、オープン当初からずーーーーーーっと気になっていて、頭の片隅には常に居座っているような不思議な存在として長い期間、その思いと共に生きていたのですが。
2020年11月5日、急にその時は訪れました。
「よし!気絶さんに行こう!」
と変に意気込んでしまい、前日から無駄に緊張してしまい…色々な自宅での作業等も相俟ってほぼ睡眠する事無く当日。
満席で入れなかったら心が折れて、メンタル的にもう二度と来店出来ないかもしれない…と思い、確実に入店するべくオープン時間に合わせてアタックする事を決める。
心配性度MAXの行動。
店舗が入っているビルの前。
オープンしてるよ…と言うには、少し心許なく足元に立て掛けられた【気絶】という看板。
自分が二十歳過ぎ、初めてメイド喫茶に入店する時と同じくらいの緊張感。
それを煽る様な、エレベーターの強めの振動。
もはや店で働く為に面接に来ました、くらいの心持ち。
自分が尋常じゃないくらいに緊張に弱い事を改めて思い出す。
エレベーターのドアが開くと、お店の入り口のドアは既に開いていて店内からは談笑の声。
自分でドアを開ける、という第一関門をスルー出来た事に少し安堵する。
チラっ、と中の様子を伺おうとした瞬間、一瞬で気配を察したメイドさんに「いらっしゃいませ〜」から流れる様に、コロナ対策の検温と手洗いを促される。
これは急展開。
(忍びか!伊賀か甲賀の者か!)
と心の中で馬鹿な事を思いながら入念に手を洗い、洗面所から出るとカウンター席かテーブル席どちらにするかを問われ…兎に角、席に座って一旦落ち着きたい!の一心で一番出入り口に近いカウンター席に座らせて頂く。
「今日はどうしますー?」
一旦落ち着く隙を与えず、距離を詰められ更にテンパってしまい危うく流れで「じゃあ、日替わり定食で」という謎の返し言葉で場を凍り付かせてしまう寸前で堪え…
「あの…気絶さん初めましてなんです」
の言葉を絞り出す。
そこからは、とても丁寧にメニュー表と照らし合わせながら料金や、お得で面白い独自システム(タクシー割引やコインロッカー割引等)の説明をして頂く。
そのメニューやシステムにも細かなネタが多く取り入れられていて、説明されながらコチラもそれに対してツッコミを入れつつ質問してみたりして…
ある意味、ここから既に気絶さん的な接客術が展開されている様に感じました。
メニュー説明の時点で、メイドさんからの一方通行にならない…お互いに楽しく説明をする、されるという構図。
実際、この説明を受けている時間でボクの先程までの緊張感や不安感は一切無くなっていて、時に二対一、三対一で他のメイドさんも説明中に一言二言と会話に交ざりに来たりしてくれて…気が付けば、ちょっとした部活やサークルの仲間同士で談笑している様な雰囲気に包まれていました。
何処から魔法をかけられていたのか。
いつからそう錯覚していたのか。
そう思う程に自然と自分がその場に溶け込み、初めましての人達とこんなに笑いながら話が出来るのか…と、自分自身にもまた驚きつつ。
居心地の良さ、という言葉だけでは言い表せない。
誰も特別に意識していない、けれど個人個人の「こうしてみたら楽しそう」という目には見えない感覚。
そのメイドさん側が考え、思う【こうしてみたら楽しそう】という感覚が時に肌で、時に空気でお客側に伝わってくる。
その瞬間「あ、今なんだか店内全体が楽しいで満ちているな」と。
それが、自分だけの【楽しい】じゃなくて。
自分と直接関わっていない、遠い位置に居るメイドさんやお客さん達の【楽しい】までが伝わる。
それは、今まで行った事のあるお店(メイドさんが居る居ないに関わらず)では、感じた事の無いモノでした。
記述が大分前後してしまいますが、今回は初来店という事で…初来店のお客は、ほぼ100%このコースを選ぶだろう、という【はじめましてコース(ドリンク2杯とチェキ券が付いた初来店の方限定の超お得セット 60分2000円)】での滞在。
が、そのいつまででも居られる…というか、もう選択肢から【帰る】のコマンドが消えてしまった様な状態の自分は60分の滞在時間をあっさりオーバーして、自動的に延長モードに。
はじめましてコースは60分を越えると、その後は自己申告で通常のコース(飲み放題コース各種orカフェコース)で移行する流れに。
自分はあまりドリンクもお酒も多く飲めないので、おとなしくカフェコース(30分500円 60分毎に1オーダー以上)に移行して頂き、更に滞在する事に。
この1オーダー以上には、ドリンクやフード以外にチェキ等もオーダー規定に含まれるとの事で。
諸事情で飲食をあまり出来ないので、個人的にはとても有難いな…と感じました。
今まで、メイドさん系列のチェキ文化に触れて来なかった身としては…むしろ、今後は積極的に撮らせて頂きたいと思っていた矢先だった事もあり。
お店によっては1時間毎に飲食を強要される様な所もある中で…そういった事が無く安心して過ごす事が出来るのも、これも個人的にですがとても助かるシステムです。
と…長々と色々書いてきましたが。
要約すると【気絶】は【気絶】でした、という事。
自分の中で、今までの十数年間で…居心地が良い、何度も通いたい、と思えるお店こそありましたが、唯一無二と言えるお店というのは、先日惜しまれつつ閉店された【シャッツキステ】さんというお店だけでした。
そんな折、シャッツキステさんの閉店と入れ替わる様に初来店させて頂いた【気絶】さんは…とてつもなく圧倒的に唯一無二でした。
大袈裟かもしれませんが、なんだかそういう事情も相俟って自分の中ではこのタイミングで来店させて頂いた事に運命にも似たモノを感じてしまう。
そして何処からか「おまえの居場所はココだよ」と言われているような感覚。
何より、名前に偽り無し。
一歩、お店の入っているビルの敷地外に出ると…
「あれ?今まで自分は何をしていたんだ?」
という状態になる。
数分前にエレベーターに乗って6階に上がってお店に入ったのに、なんでもう自分は外に居るんだろう、と。
まだ数分しか経っていない筈……………
と、時計に目を遣ると約2時間分、短針は進んでいる。
よくTwitter等で「今日、気絶します」や「気絶してきた」みたいな事を呟いている方がいらっしゃるのですが。
今ならハッキリわかります。
皆、本当に【気絶】してるんだ、と。
居心地の良さという言葉だけでは言い表せない、と先述しましたが…これが理由でした。
【気絶】さんの店内は、本当に意識を失って文字通り気絶してしまっている様な時間感覚で時が過ぎている。
アッという間、という言葉はこの店の為にだけある…というくらい。
そして気絶している間、断続的に見ている夢みたいな幻みたいなものは何れも楽しくて幸せなモノ。
気絶から覚醒した後「あぁ、あんなに楽しくて幸せな気持ちになれるなら、また早く気絶したい」とすぐに考えてしまう頭。不思議で危険で魅惑的な…………
あくまで、全てが個人的な感想で…皆様に当て嵌めるという事は無いとは思いますが。
これだけ書いてきた意味を全て帳消しにしてしまいますが、この「気絶する」という感覚だけは、いくら言葉を紡いでも決して伝わらない気がします。
もし、ここまで読んで頂いた方で、更に【気絶】さんというお店に行った事が無い方は…
是非とも御自身の体で「気絶する」という感覚を一度味わって頂きたいな、と。
日々の疲れ、悩み、問題………睡眠や休息ではどうにもならない事。
一度、気絶してしまって頭を強制的にシャットダウンして再起動する事で、クリアになる事もある。
かもしれないです。
*【気絶】さんは正式には【本とメイドの店 気絶】という名称です。
ブックバーの様でブックバーじゃない。
メイド喫茶の様でメイド喫茶じゃない。
現存するどのタイプのお店のジャンルにも当て嵌まらない。
それが【本とメイドの店 気絶】さんです。