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劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン 感想殴り書き

泣いた。
でもそれは、彼女の顧客のシーンでだった。

⚠ガッッッツリネタバレ⚠
まだ見てない人は本当に見ない方がいい

【ちょっと好きくない】【好き】【好きくないとこに関して再考】の三本立て

【ちょっと好きくない】

前提:「良さがわからないのは自分のレベルが足りていないから」

・生きていた少佐
そもそもご都合主義的生存があまり好きじゃない。
「心から、愛してる」というセリフには彼の人生の最後の言葉だからこその輝きがあった。
また、彼の生存はバイオレットにとっての「叶わない願いはどうすれば良いのでしょうか」という命題も消失させた。
「どんなに強く想っても叶わない願いもある」と知っているヴァイオレットの消失。
「だからこそ伝えたい想いは迷わず伝えるべき」というメッセージがぶれてしまう気がした。

・ホッジンズ中佐
あの状況でバイオレットに伝えるのはいささか思慮に欠けるのではないか。
わざわざ大佐にも確認してもらっているのだから、確証が取れてから伝えるべきだ。
というか実際そうだったはずなのに、どうしてバイオレットに伝える時は「まだわからないんだ」と言っていたのだろうか。

行くのに3日かかることが後に明かされるが、行きの描写では意外と早く(一日程度で)着いたように見えた。
でもとにかく3日かかるから、1回ホッジンズが1人で見てくる、ということは難しかったのだろうと推察する。

それを鑑みても、ヴァイオレットを連れて行って会わせないという選択肢はないだろう。
行くしかないのなら突撃するべきだ。

その疑問符がある中での「大馬鹿野郎」はそんなに響かなかった。
あれを最大限活かすなら、突撃させて少佐がバイオレットを傷つける脚本にする。(どこから目線)
でもそれもホッジンズの責任だし、やっぱり彼は第三者だし、もう少し抑えた演出の方が好み。(どこから)

・ヴァイオレット
「気持ち悪いでしょうか」
全然共感できなかった。

最愛の(と自覚した)少佐に、数年越しに会えるかもしれない。
しかしどのような状態かまだ分からない。
本人かどうかすらも定かではない。

この状況でなぜ、自分の想いを伝えて反応をもらう前提なのか。
このセリフはやはり「まだ少佐を想っている私は」「気持ち悪いでしょうか」ということだと思うので、さすがに恋愛に傾けすぎだと思った。

「少佐が生きておられるならそれでいい」
彼の安否を確認しに行くだけなら、件のセリフは出てこないはずだ。

そしてあの「愛してる」を恋愛に傾けられすぎたことに対しても残念な気持ちになった。
ヴァイオレットが子どもだったころから見てきた少佐が発した「愛してる」にはもっと広く深い気持ちが宿っている。そういう印象だった。
それをバイオレットも「少しはわかって」きていたのだと思っていた。

「気持ち悪いでしょうか」

少佐の安否が確認できて、また一緒に生活できるようになって、カトレアさんとかにせっつかれて、やっとこのセリフが出てきていたら、ヴァイオレットをかわいがれたと思う。

・義手の不調
あれに結局どういう意味があったのかよく分かっていない。
サムズアップとか指切りとか、指の細かな動きを滑らかに表現できている(できるようになった)という印象を強めるため?

・意地悪からの素直大佐
ホッジンズとのピリピリ、よく分からん。
もう時間が経ってるし、もうちょっと温和な関係を築けてると思ってた。
カトレアの助言を見るに、ホッジンズが過保護ゆえに余計殺気立っているのだろうか。
そして大佐がちょっと態度悪すぎたね。ここも、人は簡単には変われないということなのか(後述)。

ついでにリボンを届けに来た大佐に対する、ヴァイオレットの突然の戦闘シーンもいまいち分からん。
リボンにはその後気づいてたし…。

というか、ヴァイオレットとホッジンズ(とベネディクト)の反応を見るに、大佐の変化は視聴者と1部のカトレアにしか伝わっていないということなのか。

・飛んでくヴァイオレット、止めないホッジンズ
あーぶないあぶない。
エンジンに巻き込まれんで本当によかった。
絶対飛ぶんだから、ホッジンズはもうちょい焦って止めてよ。飛ばないのかと思ったじゃん。

そんですぐ浅瀬に着くし…。
ヴァイオレット鍛えられすぎだよ…。

【好き】

・映像、演技
最高だねえ

・大佐
かわいいねえ
いちばんかわいいねえ

帽子のシーンは2人して最高だねえ
仲良くなれ

・ホッジンズ
「女の子の親は俺が精神的に持たん」の時の顔うにょーんってやつ

・ユリスとリュカ
泣いた
リュカありがとう、ユリスを許してくれて

アイリスが電話持ってくるのが良い

・ユリスの危篤を聞いて我に帰るヴァイオレット
彼女が戦場から離れて、自分自身で築き上げたヴァイオレット・エヴァーガーデンを見られて良い

・走る少佐

・結局言えないヴァイオレット
あそこで「私も愛してる」と言わない/言えない彼女を見られて私の疑問符は割と救われた。
どなたかの感想で「結局そう簡単には変われない」「言いたいことを言えないヴァイオレット」という言葉を見て、余計にあのシーンの意味を感じられた。

パンフを見るに、制作側でも「愛してる」は広義で捉えられていた。

・最後の指切り
ヴァイオレットの義手と片腕のギルベルトの指切り。
個人的にエンドロール以降に何かある映画が大好きなので、余計刺さった。

【好きくないとこに関して再考】

・やっぱり2人がまた逢えてよかった
そりゃあよかった。ヴァイオレットが報われて。
そして会うならヴァイオレットは「私も愛してる」と伝えなければならない。
「私も」と言いたい、と何年も想ってきたのだから。

自動手記人形の仕事を通して、人の"感情"を受信し、それに返信できるようになったことを知ってほしいのだから。

そう考えれば「気持ち悪いでしょうか」発言も少しは理解できる。

あのセリフは言わずもがな、人間臭さを備えたヴァイオレットの成長を表現する意図が込められているのだから。

きっと仕事をしている中で、「愛してる」が時には相手に「気持ち悪がられる」という経験をしたのだろう。
描かれてはいないけど。

描かれるところだけを見れば、どんな結果になっても思っていることは伝えた方がいい、という印象なので違和感が大きかったのだと思う。

・少佐の意固地
「君はもう、自由になりなさい」
これが少佐の、ヴァイオレットへの愛だった。

ヴァイオレットには自分のことを忘れてもらうために、軍人の家からは解放されたくて、あの島で1人で生きていたかった。
「みんな自分のいない人生を歩んでほしい」「誰も私を知らない土地で生きていきたい」という逃げでもあった。

彼女を結局武器として使っていたことへの負い目(思い込みだが)が大きく作用していた。

もう自分のもとに彼女を縛り付けるようなことがあってはならない。

"素敵な強い少佐"なら、もうちょっと毅然として突っぱねるか、いっそヴァイオレットに会うこともできただろう。
もっと強ければ、命が助かった時点で帰ってきたのだろう。
しかし彼は弱いひとりの男だった。

本当はヴァイオレットを抱きしめたい。

懸命に蓋をしていた想いをつつかれて、混乱していたのだろう。
1回目の訪問を受けたギルベルトとしては、妥当な反応だったと思う。

家からの釈放(?)を兄から告げられ、ヴァイオレットからの返信を受け取り、ようやく彼は走り出すことができたのではないだろうか。

・その後の2人
少佐はその後も島で生きることを選んだ。
かつて敵対する立場にあった島の子どもたちに、彼は多くを与えたのだろう。
また、それはヴァイオレットに与えたかったものでもあったのだろう。
そしてヴァイオレットは彼と共に生きることと自動手記人形として生きることを同時に選んだ。

彼女の功績を称えて島の切手には彼女が描かれている、という演出は、伝記的でとっても素敵だった。

語りたいだけの殴り書き終わり。
もしここまで読んでくださった方がいたら、本当にありがとうございました。

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