難聴をテーマとした創作落語「だんご屋」から考える聞こえの共生社会
皆さん、こんにちは!
岩尾です。
さて、昨日は僕が通うカルチャーセンターでの落語の発表会がありまして、今回、難聴をテーマとした創作落語を作って発表しました。
落語は江戸時代にできたもので、その頃、歌舞伎が広まっていたようでして、でも庶民には敷居が高く、庶民も楽しめるものがあればという感じで広がったのが落語だそうです。
(ザックリ言ってますのであしからず(笑))
創作落語は、現代を舞台にしているものが多いと思いますが、今回は、江戸を舞台にしました。
これには理由があります。
なぜか?
落語の世界って、まさに共生社会なのです。
落語には決まった登場人物がいます。
でも、「与太郎」という一人の人、
「八つぁん」という一人の人がいるわけではなくて、
「与太郎のような人」
「八つぁんのような人」
が登場するんです。
どういうことかと言いますと、
例えば、「かぼちゃ屋」という噺、「大工調べ」という噺、両方とも「与太郎」が登場しますが、この2人は別人です。
でも、2人とも「与太郎のような人」なのです。
落語が好きな方はご存じのことですが、
与太郎は、愛すべき間抜けなキャラクターです。
八つぁんは、そそっかしい粗忽者。
甚兵衛さんは、いくら言ってもすぐにものを忘れてしまう。
もう八つぁんのそそっかしさなんて尋常じゃないですからね(笑)
(これがわかる噺は『粗忽長屋』です。めっちゃ面白いですよ(笑)!)
この3人のキャラクター、
おそらく彼らは、発達障害であったり、学習障害だったんだろうと言われています。
このような人たちは、昔からいたわけですけど診断名などはなく、現在になって診断名がついたというわけですね。
で、落語の世界は、こういう人たちが同じ目線で描かれているんです。
普通に、一緒に生活をしてるんです。
「しょうがねえ奴だな!早く来いよ!」
と、一緒に遊びに行きます。
大工調べという噺は、与太郎が登場しますが、ここでの与太郎は腕利きの大工さんです。
間抜けなことばかりする奴ですが、大工の腕はすごくあって、棟梁に助けてもらうんですね。
棟梁も、与太郎の腕を頼りにしてますし、普通に面倒を見ます。
同じ目線で生活をしてるんです。
もちろん、江戸時代にもひどい差別があったという話は聞きます。
おそらくあったんだろうと思います。
でも、一方で、同じ目線で暮らしている生活もあったわけです。
だから、落語という話に残ってるわけです。
この落語の世界観が僕は好きで、だから今まで続けているのかもしれません。
落語はちょうど娘が生まれた頃に始めたんですけど、この世界観を聞いて、すごくいいなと思ったことはよく覚えています。
ただ、難聴の人が出てくる噺はないんですよね。
若干あるのはあるんですけど、あまり伝えたい内容というわけではないもので・・・
落語の話にあまり出てきてないということは、難聴の人はもしかしたら差別を受けていたのかもしれません。
昔は補聴器とかもありませんでしたし、手話がその頃あったかどうかもわかりません。
なので、与太郎たちとは違う扱いを受けていたのかもしれませんが、この世界に難聴の人がいたらどんな感じなんだろう?ということをイメージして、
そんなお互いが助け合える社会になれるといいなと願って創った落語が、「だんご屋」なのです。
難聴がわかるアニメ「なんちょうなんなん」と同じく、押しつけがましくなく、聞こえづらくても、お互い助け合って普通に生活できる社会っていいなと感じてもらえればと、そんなことを思って創りました。
演じているとき、なかなか会場の人たちの顔を見れませんでしたが(笑)、斜め前の方がすごく笑顔で聞いてくれていたのはありがたかったです。
そして、いつもながら、僕の応援団長である娘は、いいところで笑ってくれるんです(笑)!
ありがたいですね(笑)
難聴をテーマにした落語だということを枕(最初の導入の話)で振る(話す)のですが(そうしないと話自体がよくわからなくなるので)、そのせいで笑っちゃいけない雰囲気になったのかもしれない中、あの方が笑顔で聞いてくれてたのは本当にありがたかったですね。
噺は、笑えるところも用意したので、もし、この噺を聞く機会がありましたら、ぜひ、遠慮なく笑ってください(笑)
と、僕の腕不足をごまかしといて・・・(笑)、いい内容にできたなとは思うので、いろんな場所で披露したいですね。
ということで!
イベントを企画する方、学校関係者の方、公民館関係者の方、寄席を主催する方(笑)、呼んでいただければ、すぐに駆けつけますので、ぜひ、お声がけください!
ちなみに、僕の高座名は、粗忽家王かんです。
師匠は、粗忽家勘楽です。
プロではないですが、この道ではかなりの実績を持っている師匠です。
一緒に伺うこともできますので、ぜひ、お声がけください(^^ゞ
よろしくお願いします!