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お子さんは?と聞かれる子なしの戦い

昨日はパートの初出勤日だった。
指導してくださったのは60代のおばちゃん、林さん(仮)とさせてもらう。ここでのパート歴は3年弱らしいが、パートのボスだと、別部署のおじさんが教えてくれた。

昨日は珍しく暇だったようで、世間話をする時間もあり林さんが私の基本情報について質問をしてくれた。
年齢、家族構成、出身地、今までの仕事、趣味など。
29歳夫とふたり、北海道から知人もいない九州へ移住、前職看護師、趣味登山。
一つ答えるたびに「えー!なんでなんで?」と興味津々な林さん。確かに、私の現状は「なんで?」とツッコミたくなることばかりなのかもしれない。

そして、今まで幾度となく聞かれ、幾度となく答え、そして幾度となく悩まされたこの質問。
「お子さんは?」
聞かれるとは思っていたし、変に詮索されたくもないので通常トーンで「いません」と答える。

こういう質問をする人たちは、その後のリアクションが年齢によって大きく異なるという統計が出ている。(私調べ)
60〜70代の返答はほぼ100%は「そっか〜寂しいわね、ご兄弟は?お子さんいるの?」だ。
自分がおばあちゃんになる年齢のためか、私に子供がいるかどうかより、あなたの母親はおばあちゃんになれているの?という目線で物事を考えがちだ。(完全私調べ)
そして、しつこい。
「結婚して何年?」「ご主人お忙しいの?」「早いうちに産んだ方がいいわよ」「まあでも今はいろんな考えの人がいるみたいだから、ね。」 
80代と違うのは、最後の部分。
60〜70代の人は、DINKsや不妊治療について多少聞いたことがあり、さらに”私は多様性を認められるタイプよ”という傲慢さが滲み出る。
友達の知り合いの娘は結婚する気がないとか、あそこの奥さんの息子さんは同性のパートナーがいるようだとか、近からず遠からずにそういった事象が起きているからなのだろう。
林さんも60代後半、どんなリアクションが帰ってくるかと思ったら
「そう」
それだけだった。
多少目線が下に泳いだが、林さんはそれ以上この話を広げようともせず、自分の意見を言うこともなく次の話題へと、自然に移っていった。

私は静かに拍子抜けし、感動していた。

今までは「子供はいません」と答えた時点で、その次のリアクションに備え意識を集中し、相手がどんな戦法でくるのか見極め、攻撃を開始された瞬時に自分が傷つかないように守備カードを選んできた。
その癖が抜けず、林さんに対しても守備カードをすぐ出せるよう準備し、さらにしつこく聞かれた場合の攻撃カードまでデッキに出すスタンバイをしていたのに。

でも本来、これが普通なのだ。

私に子供がいようがいなかろうが、私と夫以外には関係のない話。
私が不妊治療をしていようが、DINKsだろうが、夫婦の問題。

他人にとってどうだっていいことだ、というのはあまりに暴力的かもしれないけれど、当事者以外にとっては、どうだっていいことだと思う。そう思って欲しい。

私たちには子供がいない、現在妊娠もしていない。それだけが事実でそれ以上でも以下でもない。
誰かを説得させる理由はいらないし、誰かに同情してもらう理由もない。
あるのは事実だけ。


林さんには子供がいるのか、彼女はおばあちゃんなのか。
私にとってはどうでもいいことで、ただパートのボスとしてこれからも頼りにさせていただきたいと思った。




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