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【二次小説】掌編 煌き【某鬼退治漫画】
こんにちはこんばんは、アラ明日です。
ん?何か、界隈でnoteに小説書くの流行ってます?賞とかあるの?美味しいの?
人もすなる日記といふものを(違う)
私も世界の片隅で投稿してみようと思います。腐っていない純粋二次小説なので、伏せる必要もないとは思うのですが、それでも恥ずかしいのでフォロワーさんの中で分かってくださる方がニヤッとしてくだされば良いわ、のマインドで投稿したいと思いました。
かなり限られますね。すみません。
pixivにも投稿したけどあんまり閲覧数稼げてないのでwww、ちょっと場所を変えてみたくなったというのがその心です。(だったらタグとかちゃんと付けた方が良いとは思うのですが、大した事ない掌編なので)
コ□ナ禍時期に世間を席巻した某鬼退治漫画の、鬼を食べる子とそのお兄ちゃんの掌編です。下の子が生まれた時の、お兄ちゃんの物語です。キャラ名等、物語中にも出て来ません。何となく、雰囲気で読んでいただけましたら幸いです。
⚠️ご注意⚠️
まだアニメになっていない部分のネタバレ等ございますので、ネタバレしたくない方はここでバックオーライ願います。
掌編 煌き
あの日、しんしんと降り積もる雪に元気な産声が吸い込まれて、煌めいていたように思えた。
男は入るなと、産婆に厳命された俺と親父は土間で湯を沸かした。長屋の共同井戸に俺が水を汲みに行き、親父は竈に火を焚べる。
宵闇の井戸は周囲も見えづらく、水は凍て付くように冷たく、まだ幼かった俺の手は赤切れ血に塗れていたが、それを辛いとは一つも思わなかった。
初めて産まれる弟に、俺は何だかきらきらとした希望を抱いていたのだった。
弟妹はその後も幾人か産まれたが、親父が家に居て湯を沸かしたのは最初の弟の時、一度きりだった。
*****
生き別れた弟を目の前にして、俺は矮小で卑しく弱く惨めな己を思い知った。
弟の黒く深く澄んだ眼に映る俺は、あの頃のままの俺だった。
守ると決めた家族も守れず、あまつさえ、おふくろを手に掛けたあの日のままの、俺。
赦せなかったのは、お前じゃない。
あの時、何故俺はこの手にお前を抱き締めなかったのか。何故俺はこの腕に、お前の重みを受け止めなかったのか。
幼く未熟で愚図なのは己で、それを、直視出来なかった。
灰になり、はらはらと儚くなっていくお前を抱き留めることはもう出来ない。
*****
産まれたばかりのお前を、幸せそうな笑顔のおふくろがそっと見せてくれた。赤く皺々した小さなお前は、精一杯の泣き声を上げながら虚空を掴むように必死にもがいていた。
俺がその手に手を差し伸べると、その紅葉の掌は俺の赤切れた人差指をきゅっと掴み、安心したように泣き止んだのだった。
嗚呼、幾星霜の彼方にお前が生まれ変わっても、兄はお前と必ず共に在るだろう。
生まれて来てくれて、ありがとう。
もう一度、お前を守れるものならば、この命、いくつ捧げても構わない。
了
お目汚し、失礼致しました。
ここまでお読み頂きまして、本当にいつもありがとうございます。