1-2.いまさらきけない整数(プラス・マイナス)の足し算【前半】
前回は
『マイナスというのは、何らかの基準があって、数量△に対して反対の意味を持つものとしてー△(マイナス△)を考え、これに対し始めの△を+△と書くことに決めたと考えていて十分です。単純に言えば、裏表の関係のことです。裏をマイナスと約束すれば表はプラスという具合です。もちろん、逆の結びつきにしても構いません』
が大事な点でした。
前回は初回だったので、話さなかった事柄があります。△と+△の違いです。プラスはマイナスに対するもので、マイナスがあってはじめてプラスの意味が判ります。また、プラスは省略するのがふつうで、プラスをつけて表現すると「意味をはっきりさせている」と「強調した」感じがあります。これは日常での使用を言ったもので、数学ではどちらでも構いません。
こういうのは、気にし過ぎると苦痛になるだけです。
(高校生以上は読み飛ばして、次の段落へ)
中学生にとっては大きな問題かもしれませんが、そのうち慣れると思っていた方が気がラクだし力も伸びると思います。点数至上主義なら、問題文をきちんと読んで、「プラス・マイナスをつけて答えなさい」となっていたらくどいくらいつけて、特に断りがなければつけなくていいと思います。ガッコのセンセが細かくても、中学2年生以降はプラスをつけることの方が稀だし、貴重な化石みたいなものです。言い過ぎたかな。
ところで、「整数」って知っていますか。これは数学用語で、数学をやるには必須の基本事項です。でも、中学・高校だとあまり意識されずに授業が進むので、知らない人の方が多いと思います。これが中高数学の欠点です。
【ここから主題】
「整数」ってどのような数(スウ)ですか。具体的に頭に思い浮かべてみてください。(※1)
ちょっとキザに書けば
0,±1,±2,±3,±4,±5,…
で、±1は「+1または-1」を意味します。二次方程式を学ぶときに登場します。多くの人は
…,-3,-2,-1,0,1,2,3,…
かな。どちらでも好きな方でどうぞ。
次は、整数の足し算の形を考えます。結論から言えば、次の3つだけです:
▲+(-■) (-▲)+(-■) 0+(-■)
ちょっと長くなりますがついて来てください。異なるような形は次で全部:
(+5)+(+2) (+5)+(-2) (-5)+(+2) (-5)+(-2)
(+2)+(+5) (+2)+(-5) (-2)+(+5) (-2)+(-5)
(+4)+(+4) (+4)+(-4) (-4)+(+4) (-4)+(-4)
(+3)+0 (-3)+0
0+(+3) 0+(-3)
⇓ ⇓ 括弧記号( )は『一つの固まり』の意味が基本なので、+5などの⇓ ⇓ 硬い表現をプラスを外して柔らかく表現すると
5+2 5+(-2) (-5)+2 (-5)+(-2)
2+5 2+(-5) (-2)+5 (-2)+(-5)
4+4 4+(-4) (-4)+4 (-4)+(-4)
3+0 (-3)+0
0+3 0+(-3)
⇓ ⇓ 左の1列は説明不要だと思います。それを削って
5+(-2) (-5)+2 (-5)+(-2)
2+(-5) (-2)+5 (-2)+(-5)
4+(-4) (-4)+4 (-4)+(-4)
(-3)+0
0+(-3)
⇓ ⇓ 更に、記号「+」は5+2と2+5が等しいように、交換可能なので
5+(-2) (-5)+2 (-5)+(-2)
4+(-4) (-4)+(-4)
(-3)+0
⇓ ⇓ 更に、まとめると次の3つの形しかない
▲+(-■) (-▲)+(-■) 0+(-■)
つまり、この3つの形の計算が出来れば足し算は卒業です。
長くなったので、ここで切り上げます。次回は計算のそれらしい理屈と少しだけ練習します。最後まで読んでくれて感謝。▢
動画でも確認できます。
https://youtu.be/NDkAQGStbH0
※1:数を「かず」と読むと、個数のような意味を感じます。0を含まない自然数が対象かな。「スウ」と読むと、スウの世界感が出ます。自然数、整数、有理数、実数、複素数、四元数やその一部(偶数、奇数、素数、無理数、小数、分数、約数、倍数など)です。
このことは別の機会で『数学雑談』に書こうと思います。