8-3.いまさらきけない連立方程式(代入法)
前回紹介した等式の性質「イ)a=bかつb+c=dならばa+c=d」を用いた解き方を紹介します。数式を扱うときに頻繁に使われる方法なので、確実に使えるようにしましょう。後に紹介する加減法も同様ですが、頻度はこちらの方が上です。
必要な基本的知識はシリーズ2「文字式の計算」とシリーズ3「1次方程式」です。この知識が怪しいなら、取り敢えずこのまま読み進み、知識が怪しくなったらシリーズ2,3に戻ってください。きちんと理解していく方が、結果的に最短だと思います。
注:連立方程式を表現する際、学校教育では、次のように方程式を縦に並べて中括弧(チュウカッコ)で束ねるのですが、
この画面ではそれができないので、連立方程式と書いた後に方程式を並べる形を採ります。
では今回の話を始めます。
初めに書いた、等式の性質「イ)a=bかつb+c=dならばa+c=d」を用いて解く、基本的な形からはじめます。今回の目的は、どのように使っているかを理解することです。
例1.連立方程式 y=-5, 2x+y=-7 を解いてみます。
目標は、与えられた方程式の共通な解(xとyの値)を求めることです。いま、既にyの値は -5 と判っているので、xの値を求めればいいですね。
性質イ) を使って、2つ目の式のyを -5 で置き換えます(これを「式 y=-5 を第二式に代入する」と表現します)。すると、2x+(-5)=-7 となります。これを解くと、x=-1 を得ます。よって、 (x, y)=(-1, -5) となります。この式の主張は、x=-1, y=-5(言葉で表現すると, xは -1 でyは -5 )です。
次に、共通の解であることを確認します。第一式の y=-5 は主張そのものですね。第二式の左辺にx=-1, y=-5を代入して計算すると、左辺=2・(-1)+(-5)=-7 となるので、第二式が成り立ちます。つまり、(x, y)=(-1, -5) は、与えられた2つの方程式の共通な解です。▮
↓(簡略化すると)
解答例 y=-5 ・・・①, 2x+y=-7 ・・・② とする.
(第一式、第二式にそれぞれ①、②と名付けました)
①を②に代入すると
2x+(-5)=-7,
x=-1.
よって,
(x, y)=(-1, -5).・・・③
逆に,このとき①は成り立つ.次に,②の左辺に代入すると
②の左辺=2・(-1)+(-5)=-7
となり,②も成り立つ.したがって,③は連立方程式の解である.■
性質イ)というのは、等しいということを用いて別のものに書き換えるというものですね。例1は、yを-5に書き換えただけです。
例2.連立方程式 y=x-5, 2x+y=7 を解いてみます。
目標は、与えられた方程式の共通な解(xとyの値)を求めることです。
例1と違いxもyも値は不明です。ではどうするかというと、第一式を使って第二式が書き換えられます。y を x-5 と書き換えることにより、第二式がxだけの式になります。これがポイントなのです。書き換えることにより、未知数が1つになればこれまでの知識で解くことができますね。文字が1つだけになったら、1次や2次の方程式なら解き方を知っているからです。
解答例 y=x-5 ・・・①, 2x+y=7 ・・・② とする.
①を②に代入すると
2x+(x-5)=7,
3x=12,
x=4.
これを①に代入すると(上で②を使って求めたので、①を使います ※1)
y=4-5=-1.
よって、
(x, y)=(4, -1).・・・③
逆に,このとき
①の左辺=-1, ①の右辺=4-5=-1
となるので,①は成り立つ.次に,②の左辺に代入すると
②の左辺=2・4+(-1)=7
となるので,②も成り立つ.
したがって,③は連立方程式の解である.■
注:例1も例2も「逆に~」で検算(解であることを確認)をしました。これまでも方程式を解いたら検算してきたので、その流れを踏襲したのです。単に解くだけだったら、確認しない人の方が圧倒的に多いと思います。私もその一人です。
2つ解いてみましたが、基本的な考え方は同じということはつかめましたか。性質イ)を用いたこの解き方を代入法といいます。
例1,例2が解答例を見ないでも解けるようになったら、次の問題を解いてみてください。
練習問題 次の連立方程式を解いてみましょう。
(1) x=6, 3x-2y=10 (2) y=5-x, 3x+y-1=0
答え(1) (x, y)=(6, 4) (2) (x, y)=(-2, 7)
略解(1) 代入した式は、3・6-2y=10. これを解くと、y=4.
(2) 代入した式は、3x+(5-x)-1=0. これを解くと、x=-2.
1次方程式が解けないと、ただただ難しいだけです。▢
※1 他の理由があるのですが、いまはこう考えてください。きちんと説明するには、知識が十分ではありません。そのため、却って難しくなってしまいます。高校数学Ⅰの知識があれば、同値変形にその理由があります。この場合は、②式に代入しても問題ありません。