3-2.いまさらきけない方程式(次数、根、代数学の基本定理)
下の①~⑤は方程式であることは、前回紹介しました。そして、その式を満たす値のことを「根」ということも話しました。
今回は、もう少し話を発展させたいと思います。そのために「次数(ジスウ)」を定義します。①を1次方程式、②を2次方程式、③を3次方程式と前回紹介しまいたが、その理由を話します。
説明するために、数学用語を紹介する必要がでました:等号「=」の左側の式を「左辺(サヘン)」、右側の式を「右辺(ウヘン)」と呼びます。
方程式①の左辺の項は2つありますね。(「項」←クリックすれば説明しているページに飛びます)一つ目は文字xが1個、二つ目は文字xが0個なので、それぞれの項の次数は、「1次」「0次」です。次数が高い方は「1次」なので、左辺は「1次式」です。右辺は項が1つで、xが0個なので、右辺の項は「0次」で、右辺は「0次式」です。右辺が幸い0次式だったので、①は1次方程式と呼ばれます。
方程式②の左辺の項は2つあり、xの個数に着目すると、一つ目は xx というのを省略した表記なのでxが2個で次数は「2次」、2つ目は文字xが1個なので次数は「1次」、「2次」の方が高いので、左辺は「2次式」です。右辺は項が1つで、xが0個で0次式。幸い右辺が0次式なので、②は2次方程式と呼ばれます。
方程式③は左辺が同類項で整理されていて「=0」となっているので、安心して説明できます。「~次方程式」を説明するには、左辺が同類項で整理され「=0」になっていないと本来はいけないのです。このことはまた別の機会に説明します。
③の左辺は項が3つで、順にxの個数を数えると3, 1, 0 なので、それぞれの項の次数は、3次、1次、0次です。「3次」が一番高いので左辺は3次式です。だから、③は3次方程式と呼ばれます。
ということは、左辺が同類項で整理されて「=0」の方程式だったら、次数の一番高い項が5次だったら5次方程式と呼ばれ、次数の一番高い項がn次だったらn次方程式と呼ばれます。
一気に、数学用語を説明しました。「次数」「~次式」「~次方程式」を説明しましたが、本質的には「次数」が理解できれば十分です。他は自然と覚えられます。
ちなみに、④の各式はそれぞれ1次方程式と呼ばれます。2つ目の式で説明すると、等式 x-y+z=0 は同類項で整理されていて「=0」になっています。左辺の項は、x, -y, z で、それぞれの文字は1個ずつなので、項の次数はすべて1次です。一番高い次数が1次なので、1次方程式です。覚える必要はないと思いますが、3種類の文字の1次方程式なので、「3元1次方程式」と呼ばれます。「元」は「ゲン」と読みます。
さらにもう一つ触れておきます。式を整理するときには、次数の高い順に並べることが多いです。次数の低い順に並べることもありますが、中高の数学では、まずありません。なので、このことも頭の片隅に残せるなら、残しておいてください。まとまった話は、今の方程式の話が終わってからする予定です。
前回、③の根は、-1, -1, 2 の3つだと云いました。一般に、「n次の代数方程式の根はn個」あります。これは代数学の基本定理と呼ばれるもので、結果だけは中高でも話されているようです。きちんとした話は、代数学または複素関数論を学んだときに出てくると思います。(※1)▢
解説動画←クリックすれば見られます
※1 現在の中高の数学教育では、「根」ではなく「解」という用語を使っているので、「n次の代数方程式の解はn個以下」としか言えません。稀に、「n次の代数方程式の解は重解を含めn個」という奇妙なことを耳にし、頭が頭痛で痛い思いをします。「馬から落馬、髪を洗髪した、予定はまだ未定」と言っているからです。「理一の数学雑談」←をどうぞ。