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税金を納期限までにおさめなかかったときに起こること②(差押執行編)

こんにちは。
元公務員のFP&デザイナー、ことちゃんです。

私は、市役所で6年間、税金の徴収業務をしていました。
今回は、前回書いた、「税金を納期限までにおさめなかかったときに起こること」の続き。
具体的に差押がどう執行されるかというお話。

▼前回の記事はこちら▼

預金の差押えが一番多かった

あくまで、私の体験ベースですが、差押えする財産で一番多かったのは預金です。

理由は、財産が見つかりやすいのと、手続きが比較的簡単だから。
金融機関に口座を一つも持っていないという人、あまりいないですよね。

具体的な手順

金融機関へ照会

納期限を過ぎた方と取引がありそうな金融機関に調査票を出します。
そうすると、照会日時点の残高と直近の入出金履歴を教えてもらえるケースが多いです。

差押調書の作成

滞納額が回収できそうな預金残高がある人に対しては差押執行をします。

差押を執行するためには、差押調書という書類を作成します。
これは、正本・副本・謄本に分かれており、金融機関と本人に渡します。

私の自治体では、差押調書が作成できるシステムが導入されていました。
滞納者の氏名、住所、預金のある金融機関名、滞納している税目・税額、いつ差押えするか等を入力すると、調書が出力されます。

調書を作成したら、上長の決裁をもらいます。その時に、なぜその財産を差押えするのか等の理由を説明します。

上長の方針によって、決裁がとおりにくい時もあります。

できるだけ自分で納付する方向に説得する方針の人
どんどん差押執行をして債権管理を徹底する方針の人

などスタイルは様々です。

金融機関へ執行依頼

差押調書の決裁が通ったら、金融機関へ執行依頼をします。

直接支店を訪問するときや、遠方の金融機関の場合は郵送で対応をお願いする場合があります。

預金残高は常に動いているので、差押する金額は直接訪問し残高を再度照会してから決めることが多いです。

金融機関に執行額を記載した差押調書を渡すと、金融機関が滞納者の口座をロックして執行額分を引き出し、専用の納付書で市役所の口座に納付してもらいます。

本人への通知

差押執行後に、執行額を記載した差押調書(謄本)を本人宛に郵送します。
簡易書留で郵送します。

預金の差押の場合、差押調書が届いた時点で、取立まで完了している場合が多いので、慌てて納付したとしても手遅れです。(差押後に自分で納付した分は受け入れられないので、戻ってきます)

補足:差押と取立の違い

差押と取立(とりたて)の違いが少し難しいのですが、「差押」は財産にロックをかける、「取立」は財産を現金として回収するというイメージです。

例えば、家を差押した場合は不動産登記簿に差押情報が記載されます。
これで、売り逃げしたりできないようにロックされるイメージです。

地方税は現金で納付しなければならないので、家をお金に換えるために売却します。(市が売るなら公売、他に債権等があり裁判所が売るなら競売)
こうして売却されてできた現金を徴収することが取立です。

そのため、家が差押された後すぐに全額納付すれば、差押を「解除」することができます。

つまり、原則として差押と取立にはタイムラグがあるはずですが、預金は性質上現金そのものなので、差押と取立が同時にできます(あえて期間を空けるケースもありますが)

まとめると、「差押」はロック「取立」は現金回収です。

ということで、続きます。次回は配当について。

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