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イリス•ヘルリッツ「スウェーデン人」を読んで
イリス•ヘルリッツのSvenskar(スウェーデン人)を読んで、20年も前に書かれた本が未だにスウェーデン人をほぼ的確に描写することに驚く。
スウェーデン人の文化人類学者が、移民の多いスウェーデンで、スウェーデン人とはナニモノなのか書こうと思ったのだ。本書はスウェーデンに住み始めた移民が、現地スウェーデン人を理解するのに役立つ。
スウェーデン人は恥ずかしがり屋で、ルールを守り、孤独を愛す個人主義。スウェーデンに来る移民は、モダンで進んだスウェーデン社会から学ぶものがあるので、来ているのだろうと思っている。難民と移民は違うわけである。
でも、それは誇大妄想にも感じる。スウェーデンに住んでみて、予想通り素晴らしいと思ったことは、実は少ない。食事や気候、人間関係のつくり方は自分には合ってなかった。
唯一いいなと思えたのは、周りの人を気にしないし、それぞれの人生を謳歌しているところ。
「わたしはあなたが誰と付き合ってようが気にしない。」
「自分の仕事にも学歴にも高望みはしない。」
中庸の精神を内面化している人もいれば、実はアメリカンドリームに憧れている人もいたりする。 仕事や稼ぎ、社会的地位で、自分を他人と比べてやきもきしない姿勢が望まれている。
まあ、きっと夏に1ヶ月ほど取るバケーションにどこに行ったなどは比較して、どちらがより日焼けしてきたのかなどは競っているかもしれないが。笑
日本人と似ているといわれるスウェーデン人。確かに意外と周囲の視線を気にしながら行動するところは似ている。上の指示に従うのが好きなのも同じ。自動車事故が起きても、イライラせず、さっと車から降りて「あなたの自動車保険会社はどこですか?」と理性的に解決することを理想とする。
だけど彼らは別に彼らのままでよいと思ってて、妥協もしている。それがしあわせであることに繋がっている。家族や友人に恵まれていることや、天気が最高であること、おいしいご飯がたまに食べられること。ささいな日常を大切にして、ありがたいと感じること。
あ、そうだ。それもなんか田舎暮らしっぽくはあるが、スウェーデンが生きやすいと感じた理由だった。