2024.3.7. 女の子の形をした"何か"
3月、暇を持て余すこの季節に、大学で本を借りた。
読書をするようになったのは、大学になってから。健康に気を遣えるようになったのも大学生で一人暮らしを始めてからだ。
買い物の時はうどんではなく、血糖値の上昇を抑えてくれる蕎麦を選んでいるし、最近オートミールに手を出そうとしているのは、低カロリーな上にタンパク質が豊富に含まれていることを知ったからだ。一人になって初めて考えることや顕著に変化することが多い。そうするとたまに、以前のことを思い出す。
小さい頃は、男の子に憧れがあった。
強いから。足が速いから。面白いことを全部持っていくから。人気者になれそうだから。頼りになるから。そして、かっこいいから。
だから自分は、"ボーイッシュ"という言葉に縋って、スカートは履かないし、髪は短くショートにするのが好きだった。高校生に上がって、自分は"ギャップ"が好きだと知った。男の子でピアノが弾ける人。普段はメガネなのに、スポーツをする時はコンタクトな人。見た目はおとなしめなのに、格闘技が好きな人。左利きな人。そんな人が好きだ。
だから自分も、"女の子なのに、男の子っぽい人"を目指したがったし、そうなっていたと思う。好みとか趣味とか、容姿とか、その辺り。好きな声優さんがレトロゲームやガジェットが好きだったので自分もそれが趣味になっていたし、高校の時に仲良かった友達も変わった趣味を持っている人がいて、自分もそれを好きになりつつあった。自分の周りに自然と集まってたのは"女の子らしくない趣味を持っている人たち"だったのを思い出した。類は友を呼ぶとはこのことか。多分大学生になってもこんなことしてると思うし、女の子らしいことは一切しないのだろうと思っていたが、大学生はすごい。いろんな情報が入ってくる分、興味が全方向に向く。コスメやヘアメイク、食生活までも変われるなど思ってもいなかったからだ。昔から変わらないのは服の好み。背中に文字が書いてあったりマフィアみたいにガラの悪い柄シャツはやっぱり好きで癖に刺さるから、HAREのネットショッピングにずっと張り付いている。ていうか、ガラの悪い柄シャツって何。
成長して変わった部分もあるけれど、やっぱり男の子っぽいことをするのが好きだ。だからたまに「自分は男の子っぽいから」と謎に割り切る時があるが、今読んでいる本でこのような言葉があった。
「女は、過去怒った時のことはその場では怒らず、怒りが貯まったら、満額で決済する。男は怒りはその場で都度、少額決算する。」
(F(2020). 20代で得た知見. 228)
例外はあると思うし、女性に限ったことではないが、募った怒りを何かのタイミングで放出させる人はよくいる。小学校の時に苦手だった担任もそういう人であった。ドラマでよく見る夫婦喧嘩を思い浮かべてみてもこのような構図が当てはまると思う。満額決済するのは女性のイメージだし、こういうイメージがついてしまうあたり、ドラマって一種のプロパガンダなんだろうなと思う。
そのような女性や苦手だった担任に似たくないと思うし、対人関係においては怒りを蓄積させるのは悪い方向に進むと経験上頭ではわかっているので、自分はそうしたくない。しかしながら、そうはならないだろうと念頭にある自分とは裏腹に、この"満額決済をする人の気持ち"をわかってしまう何かがある。振り返ると自分は普段から怒りの感情が表に出ない人間ではあるが、その分何かの折に思い出したように込み上げてくるものがある。似たくないとは思っていても、現れてしまうのが人間心理の性なのでしょうか。これは多分、自分の趣味や好みが先行して、自分が"女性"という自覚が薄れてしまっているのかもしれない。自分は男の子を装っている着ぐるみなのか、あるいは女の子の形をした"何か"か。女の子としての中身がない、男子という形式だけのものになってしまう形骸化を恐れてしまった。
思っていることをつらつらと書いてしまったのでオチが定かではなくなってしまったが、自分がこの記事を書きたいと思ったのは自分の本質を理解してもらえる存在が欲しくなったからだ。要はアイデンティティって大事だと思うってこと、多分。今日も読書して寝る。明日には元気元気。
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