2時間という単位。
大学生の頃は2時間制の店が大嫌いだった。『ドリンクラストオーダーでーす』という店員さんのかけ声に、水を差される感じに心の底からがっかりしてた。
あの頃よく利用していた類のお店は時間制で、『2時間という単位が世の中を占拠し始めている』と研究テーマに盛り上がったほどだった。
飲み会、映画、ドラマ、あとなんだったか…。とにかく“2時間”が何かしらの規制の単位だった。どこか物足りなくて、もっともっとと思わせられるような間合いに感じていた。
でもそれも、もはや10年前で、斬新に感じたそのワードも、今では耳にすることもほとんどないように思う。どちらかというともう少し長めの設定が今のスタンダードに近づきつつあって、3時間パック、には耳馴染みの良さもあるようにおもう。
そんな中、今日久しぶりに2時間制ですと飲食店から退店を促された。でも正直ぜんぜん不快ではなくて、むしろ『もう2時間なのね、はいはい帰りましょう』みたいなきぶん。そう思うと、そんな風に時間制を敷くお店に最近はあまり入っていないからかもしれないと気づいた。
時間を制限されるコース料理を頼むような居酒屋での飲食はだいたい仕事がらみだ。だから、『ラストオーダーでーす』の声に、安堵のきもちすら覚えてしまうのかもしれないけど、その変化にまったく驚いてしまう。
決してその時間が楽しくないわけじゃない。でも、何かしらの節目を第三者に言い渡されることで、救われることが世の中にはあるんだとおもう。自分で線引きすることに、いつからか遠慮することがオトナだと思っているからかもしれない。
7時半に始まった同僚との遅い新年会は、9時半にお開きになった。今なら夫と今日あったことを話せるかもしれない。ホットミルクでも飲みながら、明日の金曜日に向かって穏やかな時間を過ごせそうだ。
あの頃憎んだ飲食店のシステムは、今のわたしをしあわせにしてくれている。
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