メイケイエールの明日はこっちか

その後、メイケイエールが放牧先から戻ってきた。
その間、写真集やファン投票や、その結果のぬいぐるみや、話題は尽きなかった。
あれ、メイケイエール、思ってたよりずっと人気があるのか?とそう思うようなネットの動きであった。

次走はいよいよセントウルステークスである。距離は1200、やっぱり、この馬はスプリントでいくのか。かからなくなってきたのでマイルでも見たい、という声を掲示板で拾い読みして、わからないながらも、なるほど、と思いながら、次走に関する情報を待っていた。

それにしても、メイケイエールに関しては、いつも、もしかしたら、暴れたあと沈むかもしれない、最悪、また平地調教注意並みのやらかしがあるかもしれない、思ったほど走らんかったらどうしよう(これはどの馬にもあてはまることかもしれないが)という心配が尽きない。
パシュファイヤーをつけたメイケイエールが、頭を振って暴れていた前走が嫌でも脳裏に浮かぶ。
前走は相手が良かったのかもしれない。今回はG1馬のソングラインがいる。以前、進路を妨害して迷惑をかけた因縁の馬である。このとき怒っていた鞍上が、今はメイケイエールにまたがり、文字通り命がけで彼女を制御してくれている。

1週前の追い切りでは、かなりの好感触だという記事が出た。かなり仕上げてきている。ほかのメンバーに比べて抜けている。よほどのことがないかぎりメイケイエールが勝つだろう、という意見があちこちで目に入った。
対して、ソングラインは今回、距離に不安があるし、次走のためのたたきらしいので、調整もそこそこのようだという意見が多かった。

すごくいいようだ。これがまた不安をかきたてる。
当日までネットで情報を見ていたが、どれもメイケイエール有利は動かなかった。これで全然だめだったら、そんなことを考えながら、当日、テレビの前に座った私は、まず、馬体重に、え、となった。

14キロ増である。私は競馬の知識がないものだから、パドックのときは、まず体重の増減を見る。増減の幅が少ないのが安定しているように思えるのでそこが判断基準の一つになっている(馬券を買うわけではないが、毎回どの馬が来そうかは予想する)それが、この日、メイケイエールは14キロ増、成長分と言われているが、どうなのか。前に増えていたとき、たしかよくなかったように思う。暴れたあと最後までもたず、ずるずる沈んでいった。パドックを歩く姿を見ていたが、よくわからない。そんなに増えているようには思えない。言われてみればでかくなったようにも見えるが。
相変わらずのパシュファイヤー装着、折り返し手綱を揺らしながら歩くさまは迫力すら感じられる。なにより、馬体にえもいえぬ艶がある。

いい感じじゃないだろうか。そう思っていたのもつかの間、ゲート入りを嫌がる素振りに、また、うーん、となる。
いや、このごろ、嫌がるってたしか言ってたな。そのときも勝ってたし、などと、言っているあいだにスタート、結果は堂々の勝利、テレビで見る限り、まったくかかっていないし最後の直線は本当に強かった。
すごい、すごい、と声に出して喜んだ。えらい、メイケイエール、成長したじゃん。感動したよ。もう大丈夫だね。そして、陣営、関係者のかた、そして、鞍上の池添騎手、お疲れさまでした、と馬主でもないのに、頭を下げていた。

そして、勝った喜びの声を掲示板やツイッターで探していたら、またもや、いろんな意見が目に入ってきた。
今回は時計が速かったからかからなかったのではないか
いやいや、スタート直後はかかっていた
ほかの馬はかかったときの巻き添えを恐がってメイケイエールを避けていた。あれはずるいだろう。もし、隣に並ばれたらどうなるかわからない。
そんな意見を見ていて、それまでの浮かれ気分は飛んでしまう。そうか。そりゃそうだ。そんな簡単なものではない。

次走はG1、スプリンターズステークスである。正念場だ。
メイケイエール、頑張って。アンチな意見をその実力で減らしてきた貴女を心の底からリスペクトしている。そうして、ああでもない、こうでもない、という意見に、私は心の中でこうつぶやくことにする。

「のびしろしかないわ」



いいなと思ったら応援しよう!