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舞台『D.C.III~ダ・カーポIII~君と旅する時の魔法』その9 上映会準備編

公演終了後、一週間ほどあったアーカイヴ配信期間も終わり、ようやく日常が戻って来た……と言いたいところだったが、実はこの期間、僕は仕事以外にプライベートでもいろいろと忙殺されていた。
公演終了後すぐに娘さんのチアの大会があり、コロナ禍のせいで一年遅らせて満年齢で行なった七五三……などを皮切りに、年末年始もいろいろと大変で、1月に入ってからは奥さんが入院したり、とかなりバタバタの期間だった。

上映会の展示会場に飾られていたエト様

舞台が好評のまま幕を閉じたので、そのうち再演か続編の話でも舞い込んできたらいいな、と思いつつも、皆のトーク配信などで舞台の興奮の残滓を味わいながら、抱えているシナリオ・企画業務などをこなしつつ、子供を学校に送り出し、病院に着替えを届け……など目まぐるしい日々を送っていたわけだ。

アーカイヴ終了直後に始まったミクチャさんの特典映像配信だけじゃなく、演者の方々による舞台関係のアフタトーク的な配信がいくつかあったので、それを楽しませてもらったりもしていた。
新田さんと佐々木さんの「生つんらじ~キミとくつろぐみこのマホウ~」、新田さんと清水さんの「つんライン生」など新田さんの番組はもちろん、STARMARIEさんの番組「STARMARIEの声と妄想の世界」にゲスト出演した髙橋さんも舞台D.C.IIIのことをいろいろと語ってくれていたりしたので、それに耳を傾けつつ、他の出演者の皆さんのアフタトークが聴きたい、という気持ちは大きくなっていった。

また、大食いタレントとしても活躍している美琴役の黒木さんが、テレ東系『新春! 大食い女王決定戦2022 爆食の新女王誕生SP』(1月2日放映)や、日テレ系『ザ! 世界仰天ニュース』「大食いなのに激やせ女子の腸の秘密SP!」(3月15日放映)に出演。
彼女を紹介するパートでは、舞台D.C.IIIの実際の映像が何シーンか放映されたりして、まさかの地上波放映&TVer配信に、ありがたいやらうれしいやら。

そんな中、僕の元に舞い込んできたのが舞台D.C.III上映会の話だった。
4月29日から5月2日の四日間、オープン直後の劇団飛行船の持ち小屋「飛行船シアター」にて、大スクリーンで舞台D.C.IIIを上映。その後、出演者によるトークショーを開催する。
4月27日に『D.C.III~ダ・カーポIII~』自体が10周年を迎えることもあって、本当にタイムリィな開催となった。

上映会が発表になったのは3月22日だったと思うが、僕の元に話が来たのも実はそんなに変わらなくて、そのほんのちょっと前くらいだった。
黒木さんの出演した『ザ! 世界仰天ニュース』からそれほど間もなかったので、話題が途切れないまま上映会の話が舞い込んできたな、という印象だったかも知れない。

ヒロイン5名+ジル役の北原さんの計6名(つまりお姉さんチーム3名とobject組3名)をゲストに、演出の市村さんと清隆役の櫻井くんがMCとして登壇するトークショー。
僕にもゲストとして登壇して欲しいという話は最初からあったが、問題はトークショーでトーク以外に何を披露するかだった。

ショートアクト的な案は最初からあって、でも劇団さん的には、ありもののシーンからセレクトしようと思ってたみたいだったので、オンライン会議でつい言ってしまったわけだ。
「書きます」と。
この辺は僕の悪いクセの「安請け合い」だ。公演の日替わりネタと同様、何とかなるだろう、と。
短いながらも観客がときめくもの、「上映会で初めて舞台D.C.IIIを観た人でも生の演技でドキドキできるものがいいですよね?」ということで、風見鶏編と初音島編それぞれの人数分の台本を書く羽目になった。

書き下ろしを提案したのには理由があって、ひとつは「生つんらじ」で新田さんと佐々木さんが、姫乃が「泊まっちゃダメ?」と聞くシーンに対して「そこは泊めてあげようよ」的なことを言っていたこと、もうひとつは前に髙橋さんが「さらちゃんの決め台詞(?)を言ってみたいです」と言っていたこと。
要するに、舞台本編はリッカメインだったため、他のヒロインたちのときめきシーンが少なかったことに対する補完だ。もちろん、「見せ場」という意味では、全ヒロイン分用意していたのだが、やはり萌えが足りていないんじゃないかと、そんな気がしていたのだ。

リッカと立夏、風見鶏姫乃と初音島姫乃、シャルルさんとるる姉、サラとさら、陽ノ本と陽ノ下(「日本から来た葵ちゃん」と「お日様の下(地上)の葵ちゃん」と覚えると間違えない)、ジルと魔女。
清隆との二言三言のやりとりだけで、魅力を引き出しつつ、観客の皆さんにときめいてもらう。単純だけど、難しいといえば難しい。

まあ、ショートということもあり宣言して間もなく、通常作業の合間を利用して、僕は台本をあっという間に書き上げた。最初からベタベタな掛け合いで行こうと決めていたので、そんなに迷うことも無かった。

台本を爆速で書き上げた後、4月5日に劇団飛行船さんによる「2022年劇団飛行船制作発表会」があり、市村さんによる11月の舞台D.C.IIIの報告と、月末の上映会、ダイジェスト映像の公開が行われた。

実は僕は前日の4月4日、COVID-19のワクチンのブースタ接種(三回目だけはモデルナ筋注)をしたため、高熱で横になりながら夢現でその制作発表会を見ていた、というのは内緒であるw

提出した台本はおおむね好評。
演出側の意見で、風見鶏のリッカと初音島の立夏の雰囲気の系統が同じなので、どちらかを差し替えて欲しい、というので風見鶏のリッカの方の台本を差し替えたくらいか。

《ショートアクト用台本》
※あくまでガイドラインですのでアドリブ・アレンジは可とします。
●リッカ・グリーンウッド(風見鶏)
清隆「リッカさん、立てますか?」
リッカ「ありがと。ああ清隆のぬくもり……。さっき、暴走してた時、私、清隆の想いの力に包まれてたでしょう? やっぱり、この気持ちに嘘は付けないわね……」
清隆「気持ち、ですか?」
リッカ「その……わ、私がこんな気持ちになるなんて、この150年、無かったことなんだから、ありがたく受け止めなさいよね……」

●森園立夏(初音島)
清隆「その、立夏さん……こっちに帰る前に言ってたことなんですけど」
立夏「ああ、結婚? 私がしてくれって言ったら今すぐしてくれるの?」
清隆「そういうわけじゃないですけど……」
立夏「だったら婚約よ! 結納よ! 婚前旅行に婚前交渉よ! 私を誰だと思ってるの? 一度決めたらやり遂げる。負けられない戦いが今、始まったのよ!」

●葛木姫乃(風見鶏)
清隆「とりあえず今日のところは女子寮に帰れよ。部屋の場所は聞いたろ?」
姫乃「ええ~? 心細いよ。こっちに泊まっちゃダメ?」
清隆「え? 罰則はないとはいえ、さすがに泊まったら……」
姫乃「(食い気味に)ダメ……なの?」
清隆「……や、ダメじゃ、ないです」
姫乃「やったぁ。だから兄さん、大好き。今夜はベッドで朝まで語り明かそうね♪」

●葛木姫乃(初音島)
清隆「あれ? 姫乃じゃないか。どうしたんだよ?」
姫乃「朝ごはんを作りに来たてあげたんですよ。昨日、シャルルさんに頼まれたんです」
清隆「え、そうなの? でもるる姉、いないぞ? 朝から生徒会の会議が入っちまったんだって」
姫乃「そうだったんですか。じゃあ、兄さんだけのために、腕によりをかけて、とびっきりの朝ごはん、作っちゃいますね♪」

●シャルル・マロース(風見鶏)
清隆「シャルルさん、その変な生物は何なんですか?」
シャルル「またまた御冗談を。変な生物じゃなくてトナカイだよ。名前はエト、あたしの家族。だよね~エト?」
清隆「と、トナカイなんだ、それ」
シャルル「んもう。あたしの家族ってことは、清隆くんの家族になるってことなんだからね。ちゃんと自覚してよね。未来の旦那様♪」

●芳乃シャルル(初音島)
清隆「るる姉がこんな時間に起きてるなんて珍しい」
シャルル「そお? あたしだってトイレに起きることくらいあるよ~。じゃあまたね、タカくん。夢の世界でお逢いしましょう♪」
清隆「こらこらこらこら、寝直さないでくれよ!」
シャルル「いいじゃない。一緒に寝ようよう。タカくんが添い寝してくれたらあたし、たまった疲れも吹き飛んじゃうんだけどな~。ね? いいでしょ?」

●サラ・クリサリス(風見鶏)
清隆「お、おっすサラ」
サラ「清隆、なんだか他人行儀ですね。私、清隆の気に障るようなこと、何かしましたか?」
清隆「い、いや、そんなことはないと思うけど」
サラ「せっかく仲良くなれたと思っていたんですが、関係を一から構築し直さないと駄目なんでしょうか?」
清隆「そんなことないぞ。俺たち、大の仲良しだろ?」
サラ「(照れながら、まんざらでもない感じで)そ、そうですか。な、なら、いいんですけど……」

●瑠川さら(初音島)
清隆「お~す、さら!」
さら「せ、先輩不潔です! えっち! 変態! 不純異性交遊~!!」
清隆「ま、まだ何もしてないんだけど?」
さら「まだってことはこれから何かするつもりなんですね? たた、逮捕です!」
清隆「逮捕って。いや、だから、さらとは真面目に、真剣に、お付き合いしていこうと思ってるんだけど」
さら「ホントですか? ホントにホントですか? じゃあ先輩、逮捕します」

●陽ノ本葵(風見鶏)
清隆「あれ? ひょっとして葵ちゃん?」
葵「ひょっとしなくても、皆の妹、陽ノ本葵です♪」
清隆「皆の妹かぁ」
葵「おやおや、不服ですか? 不服ですか、そうですかぁ……。でもでも、清隆さんが私だけのお兄ちゃんになってくれるなら、あなただけの妹になりますよ?」

●陽ノ下葵(初音島)
清隆「あ、葵ちゃん。ちょっといいかな?」
葵「清隆さん、どうしたんですか?」
清隆「ちょっとね、最近、葵ちゃん、立夏さんをいじりすぎなんじゃないかな~って思ったものだから。何ていうか、新聞部の雰囲気を考えるとね、もうちょっと抑えて欲しいっていうか」
葵「あ、それならご安心下さい。あれは立夏さんが求めているからやってるだけなんです。清隆さんには見えませんか? あのいじってオーラが」
清隆「いじってオーラ?」
葵「あ、わかりました。嫉妬、ですね? 立夏さんばかりいじるから、清隆さん、嫉妬してくれてるんですね? なるほどわかりました。不肖陽ノ下葵、これから一生、あなたをいじり続けることを誓います♪」

●ジル・ハサウェイ(本人)
清隆「えっと、たしかジルさん、でしたよね?」
ジル「そうだよ、私の名前はジル・ハサウェイ。清隆くん、久しぶり♪」
清隆「ひ、久しぶり?」
ジル「覚えてないんだね。私の残留思念はね、ずっとこの古いワンドに宿っていたんだよ。これから毎晩、夢に出て、昔の話をしてあげるね。だから、清隆くんも今までのこと、私に教えて」

●ジル・ハサウェイ(最果ての魔女)
清隆「さ、最果ての魔女! 世界と心中するなんて、そんな淋しいことを言うのはやめるんだ! 世の中はもっと優しい! 捨てたもんじゃなハズだ!」
ジル「そう? そこまで言うなら、残りの人生を私に捧げてくる? 清隆くん」
清隆「え? の、残りの人生?」
ジル「そう、残りの人生。あなたにとってはバッドエンドでも、私にとってはハッピーエンドってこと。できるよね? 世界を救うためだもの、容易いことでしょ。今後ともよろしくね、葛木清隆くん♪」

舞台D.C.III 上映会ショートアクト台本より

ちなみに差し替え前のリッカの台本はこんな感じだ(供養)。

●リッカ・グリーンウッド(風見鶏)
清隆「リッカさん、いろいろ考えてるんですね」
リッカ「ええ。だから、私は風見鶏にやってきたの。魔法使いの未来のために」
清隆「リッカさん……」
リッカ「その未来にはね、清隆……。清隆の存在が必要不可欠なの……。だから、その……わ、私を一生サポートなさい! 未来永劫、永遠に。きょ、拒否権はないんだからね!」

差し替え前リッカ台本

台本にOKをもらい、あとは演者さんにお任せ、のはずだった。
ただ、しばらく経って日程が近付いた頃、ふとゲストの香盤表を見て気付いてしまったのだ。
「あれ? ワルプルギスの夜に北原さんが登壇するじゃないか。ん? 5月1日には石丸さんが登壇する?」と……。
慌てて演出の市村さん、制作のはっしーさん、演者の北原さんと石丸さんと櫻井くんに連絡を入れて(ちょうど北原さんと石丸さんが所属していた事務所がマネジメント業務を終了し、二人がそれぞれ別の事務所に所属になってしまったため、個別に確認が必要だった)、差し込みで新規台本を提出し、OKをいただいた次第。
バタバタしてしまったが、ショートアクト「最果ての魔女:ワルプルギスの夜バージョン」と「葵:訪れた五月祭バージョン」の誕生だ。
僕の我儘に付き合っていただいて申し訳ない。

●ジル・ハサウェイ(最果ての魔女)4/30ソワレ限定バージョン
清隆「さ、最果ての魔女! 世界と心中するなんて、そんな淋しいことを言うのはやめるんだ! 世の中はもっと優しい! 捨てたもんじゃなハズだ!」
ジル「そう? そこまで言うなら、残りの人生を私に捧げてくる? 清隆くん」
清隆「え? の、残りの人生?」
ジル「そう、残りの人生。あなたにとってはバッドエンドでも、私にとってはハッピーエンドってこと。できるよね? だって、今宵はワルプルギスの夜。魔女が願いを叶えるのに最適の夜だもの。今後ともよろしくね、葛木清隆くん♪」

●陽ノ本葵(風見鶏)5/1マチネ限定バージョン
清隆「あれ? ひょっとして葵ちゃん?」
葵「清隆さん……今日って何月何日ですか?」
清隆「え? 5月1日だけど……」
葵「5月、1日……(噛みしめるように)」
清隆「ど、どうかしたの?」
葵「ああ、ど、どうもしませんよ。(誤魔化すように)いつも元気な皆の妹、陽ノ本葵です♪」
清隆「皆の妹かぁ」
葵「おやおや、不服ですか? 不服ですか、そうですかぁ……。でもでも、清隆さんが私だけのお兄ちゃんになってくれるなら、あなただけの妹になりますよ?」

差し込み台本より

その方が上映会後のトークショーも盛り上がると思ったのだ。狙ってこの日に日程を組んだのでなければ、奇跡なわけだし。

僕の登壇日はそのワルプルギスの夜「4月30日」に決定した。
共演者は、市村さん、清隆役の櫻井くん、シャルル役の藤邑さん、ジル役の北原さん。
ブースタ接種直後とはいえ、世の中的には、パンデミックが一時的に鎮静化していた11月とは状況が変わっており、オミクロン株が猛威を振るっていた時期。
オミクロン株自体がそれまでのSARS-Cov-2の株の中では弱毒化したもの、という話だったが、感染力が驚異的だったので、もちろんそんな時期に都内に赴くのは心配ではあった。

4月16日には、懇意にさせていただいているNavelさんのLIVE PARTYである「NavPA!!」が開催され、こちらも現地参戦したかったのだが、オンラインでの鑑賞となってしまった。
こちらに現地参戦できなかったのは、前々から決まっていた奥さんの都合や子供のワクチン接種などのスケジュールの兼ね合いの問題であり、別に感染を恐れて赴けなかったわけではない。

先日のゆるシェアもオンライン配信でのリアタイ参戦となったわけだが、地方住み勢としては、コロナ禍時代のオンライン配信発達にただただ感謝である。

さて、上映会の日程は4月29日から5月2日。一日2回、計8回の上映。
せっかくのD.C.III10周年記念日である「4月27日」直後(尚且つ「4月28日」にはD.C.4の新作も発売)で、D.C.III本編でも意味を持つ「4月30日」と「5月1日」を含む期間に上映会を開催、上映会後の「5月5日」はリッカ・グリーンウッドと森園立夏の誕生日。
上映会開催日程は他との兼ね合いの偶然かも知れないが、こんなに盛り上がる日程はなかなかない。「公式盛り上げてくれよ」と思いつつ、当日を待ったわけだ。

そして訪れた2022年4月27日。恋するアプリ『D.C.III~ダ・カーポIII~』発売10周年!

多くの人が10周年を祝ってくれた。というより、「え? 初代D.C.がもうすぐ20周年なのは知ってたけど、D.C.IIIですら10年なの?」という反応が多かったかもしれない。
にしても10年、である。
雨野氏やたにはらさん、鷹乃さん、eco*さんといったコアスタッフの面々、進行のkomoken氏をはじめとするスタッフの皆さん、出演者の皆さん、音響の方々……いろんな人がいて初めて成立するD.C.IIIではあるが、10年。10年かぁ。なんか脳がバグって言葉にならないw
SNS上でもお祝いの言葉をたくさんいただいた。10年後もこうして舞台化や上映会を含め、多くの人に愛されていることに、ただただ、感謝だ。

そして迎える4月29日、舞台D.C.III上映会が開始となった。
僕が登壇するのは翌30日。

何故か僕はその日、久能山東照宮の1159段の階段を昇っていたのだったw

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