なぜ妻よ炭坑節なのだ
毎日毎日仕事ばかりで嫌になる。
日付をまたぐ前には帰る、と決めているので23時頃には帰っているが、毎日疲労困憊で家につき、風呂に入ればもう時計は翌日になっている。
そんな生活が続いているから、ペットと遊べるのも基本は土日。
基本的な世話は妻に任せることになる。
つい先日のこと。
いつもより少しだけ早く帰ると、妻がまだ鳥と遊んでいた。
うちの鳥はそんなにおしゃべりが得意な方では無く、恨めしそうに「パヤパヤ」と言うか、たまに「ボンチャン!!」と何故かブチギレながら言うくらいだ。
そんなぼんちゃんに妻は随分前から歌を覚えさせようとしていた。
最初は「ミッキーマウスマーチ」だった。
ぼくらのクラブのリーダーは
ミッキーマウス!ミッキーマウス!ミッキーミッキーマウス!
強くて明るい元気者
ミッキーマウス!ミッキーマウス!ミッキーミッキーマウス!
…というあの曲。
今歌詞も見ずに書いたが恐らく合ってると思う。
繰り返しミッキーマウスマーチを聴かされ、ぼんちゃんは歌えないが代わりに僕は諳んじて歌えるようになった。
こんな歌詞だったって初めて知った。
次に覚えさせようとしていたのは「おどるポンポコリン」。
その中でも「ピーヒャラピーヒャラパッパパラパ」のところを繰り返し聴かされ、ぼんちゃんは歌えないが僕の頭には無意識におどるポンポコリンが流れてくるようになった。
あの曲は個人的に週に1回聴けば良いと思ってるので、もう一生分は聴いた気がする。
「ぼんちゃん、お歌を覚えるか~」
と鳥に声を掛ける妻を見て、服を脱ぎながら またピーヒャラか… と思っていたら、
つっきが~
でったで~た~
つーきが~でた~ぁあヨイヨイッ
まさかの炭坑節である。
福岡の方を発祥とし、全国的にも盆踊りの曲として広がった炭坑節。
僕は仕事で東京のイベントに行き、浴衣で盆踊りに参加した時に炭坑節の振付も覚えたから馴染みもある。
ちなみに東京音頭も踊れる。
しかし僕達が住んでいる地域の祭で炭坑節が流れることはないし、少なくとも妻が炭坑節を歌う姿も見たことは無かった。
なのに鳥に覚えさせようと歌ったのは炭坑節。
鳥は見たことの無い顔でフリーズしていた。
目を見開いて聴いたことの無いメロディを聴いて動かなくなる鳥。
炭坑節を歌い続ける妻。
着替えの途中、パンツ一丁でそれを聴く僕。
その日は疲れきっていたので何も聞かずそのまま寝たが、数日経って僕の中でジワジワと疑問が広がってくる。
妻に「前なんで炭坑節だったの?」と聞くと、
炭坑節って何?
と返ってきた。
そして今日。
ぼんちゃんは相変わらず恨めしそうに「パヤパヤ」と言うばかりだが、僕の頭にはひたすら同じ音楽が頭を流れている。
頭が痛いなと思いながら、その頭の中ではお囃子の音。
あ~ヨイヨイ。
サポートいただいたらもう嬉しすぎますが、サポートよりも良いなと思った記事があればシェアしてもらえると嬉しいです😂