鈴虫と去る。#1

「優輝入学式早々に遅刻するきぃ?」
「はぇ?」
 まだ8時ですら無い。気を遣ってくれるのはありがたいが、過保護とでも言おうか。誰かに見られるわけでも無いが、少しむず痒い。有り難恥ずい。
 一階に降りると朝だと言うのに、弟が昨日の幽霊特番を見ていた。挨拶を交わすと常套句が飛んできた。
「兄ちゃんは幽霊の話が聞こえるんだもんね。」 
「馬鹿にしてる?実際最近聞こえるんだよ。」
「2年前に卒業しなかったの?」
 俺は今日高校デビューを果たすのだ。しかし、うちの高校はどうも部活の品揃えが悪い。サッカー、野球、バスケット。どれも運動部で、どれもキラキラしていて、とても手が出せたものではない。インキャの無個性一人ぼっちのためにも、コンピューター回りの部活も用意しておいて欲しいものだ。そうなると趣味を楽しむしかない!典型的なゲーム廃人で月20万は羽より軽くfry awayしてしまうわけだから、バイトを探した。求人雑誌をみたら一際目立つバイトがあった。
「ホテルの部屋へ案内するだけ!高時給日当2万円!」
素晴らしい条件だ!早速電話を寄越しておいた。
 3階建てのビルに期待を包み、その期待ごとビルに吸い込まれていった。中は廃ビルかと思うくらい汚く廃病院のよう。エントランスには掲示板があった。が、純白の紙に画鋲が刺されているだけであった。社内案内の1枚や2枚くらいあっても良いと思った。キーとモスキー卜音?見たいな嫌な音がしていた。希望のような光が扉の隙間から漏れていた。扉を開けるといかにも偉いおじさんと、優しそうな若いお姉さんが座っていた。
「早速で悪けどホテルまでいこっか。はい契約書。」
「白紙じゃ無いですか。」
「まぁ、しょうがない。柊ちゃん日雇いで。」
「八帯さん、了解です。」
そう言うと、お姉さんが車を走らせた。
 ホテルに到着すると、
「あのホテルの前に待ってる子に話掛けて。結って名前。」
と言い残し、ホテルへ颯爽と吸い込まれていった。
「すみません。今日日雇いで働くことになった優輝といいます。柊さんから結さんに概要を聞くように言われました。」
結は気だるそうに淡々と刻々と話を始めた。
「あそこの花壇みて?あの花しっつる?マツムシソウ。あの花壇の花は一本まで摘んでいっていいの。あの花を摘んできた人を部屋に案内するんよ。」
「それだけ?」
「あとはアブラムシが来たらホテルに伝えるだけ。
「アブラムシ?」
「まぁ、慣れるが良し。」

雑談
こたつのなかでマウスを操作していたのですが…
「非常に指が痛い!」
初投稿で紙に概要を書いて確かに伝えたいこと、書きたいことは書けたんですが、実際面白いかが自信が持てないです。それは少し置いといて。
優輝の始めたバイトは、一体何なのでしょうか?

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