PaCO2とCO2ナルコーシスについて、もう一度復習*まとめ
PaCO2(動脈血ガス二酸化炭素分圧):動脈血にどの程度二酸化炭素が溶けているかという指標。
正常値は35~45Torr。
CO2が溶けている液体は酸性が強くなる。
PaCO2の値は換気量で決まる。
PaCO2が高い場合は、換気量や胸郭の動きが悪くなっている可能性がある。神経筋疾患や中枢性無呼吸などの疾患でも換気量が下がり、PaCO2は高くなる。
<PaCO2が高いときの症状>
頭痛、顔面紅潮、発汗、意識障害、傾眠傾向、浮腫など。(血中のCO2上昇は、皮膚と脳の血管を拡張させるため。他の血管では血管収縮が生じるため、血圧は上昇。)
さらにCO2が貯まるとCO2ナルコーシスとなる。
(おまけ)
PaCO2が高いとpH調整機能が腎臓で働く。pHを調整するために主に腎臓の尿細管でHCO3⁻が再吸収される。この代償には数日程度時間がかかる。そのため、腎臓での代償が十分に行われてる状況で、急激に強制換気を行い、血中のCO2が急激に減ってしまうと、CO2は減るが、HCO3⁻を貯めようする働きは残ってしまうため、代謝性アルカローシスに陥る。
<CO2ナルコーシス>
身体には、CO2モニター:中枢化学受容体とO2モニター:末梢化学受容体があり、この二つのモニターで、呼吸をコントロールしている。
健康な人は、CO2モニター優位
→CO2が多いから呼吸数を増やそう!とCO2で呼吸を調整する。すごーくO2が減ったときだけO2モニターが働く。
慢性的にCO2が高い人は、CO2モニターがうまく機能しない。
CO2多いけど、いつものことだし・・・、となりCO2モニターが機能しない。ここのモニターがCO2に慣れてばぐってしまったイメージ。その場合、O2モニター優位となる。
O2モニター優位の時に高濃度酸素投与をすると、O2がいっぱいあるから呼吸しなくていいと判断してしまい、CO2が溜まっていたとしても呼吸数が減ってしまう。
これをCO2ナルコーシスという。CO2ナルコーシスになると、意識障害、高度の呼吸性アシドーシス、自発呼吸の減弱が起こる。
これは本当にこわい病態。CO2が溜まっていると呼吸がしんどくなる。電解質もくるってくる。かといって、急激にCO2を飛ばすとさらに電解質が狂ってしまう。SpO2下がって酸素なんて投与しようものなら自発呼吸が止まってしまって挿管騒動に。
病態を理解して呼吸不全をみていくことが大切です。
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