背骨が2つ多い
20年間、首の痛みと付き合ってきた。
何度も病院に通って検査を重ねたけれど、なかなか治らないまま。
いつしか諦めが入り、放置していたものの、先日、再度精密検査を受けることにした。
なぜかって? 僕の好きな登山を生涯楽しみ続けたいからだ。
いつものレントゲンやMRIではなく、今回は全身をスキャンしてもらうことにした。
その画像は驚くほど鮮明で、骨や椎間板がくっきり見える。
すると、担当医が驚きの声を上げた。
「安齋さん、首の骨が1つ多いですね。腰もです」
なんと、僕の背骨は2つも多いらしい。
これが首の痛みに関係しているかはまだわからない。
そしてこれは、生物として、退化なのか、それとも進化なのか。
進化だとしたら、その意味は一体何だろう?
進化といえば、蛇が思い浮かぶ。蛇にもかつては足があった。
研究によると、蛇の祖先は7000万年にわたって後ろ足があったものの、
地面を這う生活が主流になる中で、邪魔になるため退化してなくなっていったそうだ。
もし僕の骨の多さが進化だとしたら、
例えば、骨が多い分、首が長く進化しているのかもしれない。
確かに、現代の満員電車で周囲を見渡したり、
スマホの画面を見たりするには、首が長いほうが有利そうだ。
100年後、200年後の世界は、今よりも少し多めに骨を持った、
首が長めの人ばかりになっているかもしれない。
たった2つの骨から、未来への想像が膨らんでくる。