挫折は分かれ道にすぎない
なにかが決まる、決定的瞬間に、いまだに慣れない。
たとえば、日本で一番を決める漫才の賞レースで。
たとえば、デビューを賭けたオーディション番組の最終選考で。
テレビ番組で目にする機会も多い。キラキラ光る紙吹雪が舞うなかで大歓声と大拍手に包まれる。つられて拍手しながらも僕は、選ばれなかったほうを考えてしまう。見てしまう。思いを馳せてしまう。
パフォーマンスユニット『円神-エンジン-』のデビューステージを東京国際フォーラムで観劇して、一日経って、いまだに余韻が止まらなくて、この思いをちゃんと書き残しておきたい。
「PRODUCE 101 JAPAN」というオーディション番組がある。
2019年。盛り上がってるな〜というのは知ってたけど、見逃していて。芸人のニューヨークの屋敷さんから「おもしろいっすよ」と教えてもらって、見始める。それから、一気見だった。
誰かに選ばれる、ということ。
どうしてこうもオーディション番組に惹かれてしまうのだろう。「練習生」と呼ばれる彼ら。大きな目標を目指して、変わっていく姿。そこにあふれる勇気。心のど真ん中を奮い立たせる光線を彼らは放っている。
虹プロもそうだ。壁を突破して選ばれていくその姿は、カッコいい。
よくこんな言葉を聞く。「続ける限り負けじゃない。やめた時が負けなんだ」。確かにそうだな、と思うし、実際、やめるのもしんどいけど、続けるのも中々しんどい。
選ばれなくても、選べばいい。
「円神-エンジン-」プロジェクトのことを聞いたのは今年の秋になる手前だった。「PRODUCE 101 JAPAN」の元練習生9名で結成し、年末に、東京国際フォーラムでデビューステージを行う、と。
勝っても、負けても、人生はつづく。
「PRODUCE 101 JAPAN」同期の「JO1」や「OWV」がデビューしたことは僕もニュースで知っていた。オーディション後、「円神」のメンバーが活動を続けることを選んでいたことを嬉しく思ったし、(ええ!!東京国際フォーラム!?)内心超ビビった。何度も足を運んでいるけど、あんなにデカイ箱はなかなか無い。
舞台をつくる。舞台の音楽、言葉の力を貸してほしい、とお声掛けいただいた時に、全力で力になりたいと思った。
「円神-エンジン-」のことを調べれば調べるほど、人ごとだとは思えなかったから。今、コピーライターであり、作詞家をしている僕自身、仕事に最初からつけた訳ではなかったこと。なりたいと思ってもたやすく叶わなかったこと、それでも道を選んで今に至ること。仕事で取引先を決める大きなコンペティションに負けてずーんと沈む。。。くらくらして、アスファルトばっかりを見つめる帰り道もあったなあ。
さらには同期が華々しく活躍していて、焦ったり、悔しくなったり。でも、じっくり話してみたら、その同期がめちゃくちゃいいやつだったり。
結局は、目の前の現実に体当たりしていくしか、ない。
彼ら円神のデビュー曲の「ENJIN」。
この曲は、円神が選んできた道のりを共鳴するように書いた詞です。この先、この曲がお守りみたいになれたらいいなと、心から。下記は、完成時に僕が贈ったコメント。
作曲は、Andreas Carlssonさんと、Erik Lidbomさん。おふたりは最近だと嵐の「Turning Up」を作曲されていて。Andreas Carlssonさんは、Backstreet Boys「I Want It That Way」の作曲家でもある(久しぶりに聴いても超沁みる…)
英語詞を中心に、作詞をパワーアップしてくださったRyo Itoさんは『青春アミーゴ』や『抱いてセニョリータ』をディレクターとしてヒットに導いた方で、試行錯誤の重ねて、磨き上げて完成。すごくすごく刺激的な現場だった。
この「ENJIN」という曲が舞台で歌われるんです。
歌、ダンス、演技の絶妙なバランス。終盤にかけてガラリと景色が変わる構成。舞台を観ながら思う。コロナ禍の中で、あらゆることに心を配りながら、パンクしそうないくつもの課題を、練習して、練習して、練習して、突破して、堂々と舞台に立つ。超えているその姿に、これまでを想像して、あふれてくる温かな気持ち、、、止まらなかった。
眼福。目撃できた幸せ。
舞台終わり、「素晴らしかったです」と、TOKYO FM「Skyrocket Company」のパーソナリティでもおなじみの、作・演出のマンボウやしろさんにLINEした。
舞台は東京・大阪とつづく。現地に行けなくともオンライン配信も。もしよかったら、下記サイトに詳細があります。舞台の中で歌われる曲の作詞も担当しております。
初公演直前の囲み取材。メンバーの中谷日向さんの言葉。
挫折は分かれ道にすぎない。「やめる?やめない?」って心が放つサイン。やめてもいい。やめなくてもいい。分かれ道、選んだ道の先で輝けばいい。
それを体現していて、感動してしまったんだ。