ほんとうの友達ってなんだろう?
友達ってなんだろう?
カンタンにSNSで人とつながれるこの時代。Facebookなんて「友達リクエスト」というのがきて、「承認 or 削除」で、どちらかをポチッとクリックで決まってしまう。
でも本来、友達って、二択で決められるようなものじゃないよな。
ほんとうの友達と書くと「じゃあ、うその友達って、なんだ?」という話になる。きょうは、僕の中で「このふたりは、ほんとうだなあ」ってしみじみ思った話、させてもらっていいですか? そんなに長くはなりません。どうか、最後までスクロール、お付き合いください。
あ、そうそう。
このnoteは、渋谷を拠点に活動する朝活コミュニティ「朝渋」を主宰する5時こーじさんの新刊「昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です」を応援するnoteとして書いてます。
その、こーじさんと、オリタタクヤ君。登場人物はこのふたり。
2018年のことだ。
僕は「企画でメシを食っていく(通称:企画メシ)」という連続講座を主宰している。企画する人を世の中に増やしたい、その思いで2015年からはじめて、ちょうど4期目。連続講座の終盤のタイミングだった。
「阿部さん、朝渋と企画メシとのコラボイベントをやりましょう!」
企画メシに通う、オリタタクヤ君からの提案だった。オリタ君の人柄をなんて言うと伝わるだろうか。真っ直ぐで、でもたまに会うとくよくよしてて、料理がとにかく大好きで、ごはんで人を笑顔にすることに一生懸命な男だった。
企画メシの帰り道は、部活の帰り道にちょっと似ている。
ポツポツ語り合いながら帰る時間。
そのオリタ君が「こーじって言う、すげーいいやつに出会って、僕も朝渋で働くことにしたんですよ」と話してくれたことをよく覚えている。
企画メシを卒業したら、まずは朝渋とのコラボのイベントを企画します、とオリタ君。その気持ちがうれしくて、僕に断る理由なんて1つもなかった。
そして、2018年12月に『自分と語る朝渋』というイベントが実現する。
左がこーじさん、右が僕。
司会進行はオリタ君。大勢のお客さんを前にして。
オリタ君の言葉通り、こーじさんはすげーいいやつだった。
最初から締めの言葉まで気持ちよく話せたのは、こーじさんとオリタ君のたくさんの準備があったからだと思う。ちなみに、この時のイベントレポートはこちらから。
話を進めたい。
翌年、2019年の春だったと思う。
浮かない顔をしているオリタ君に会う。
話を聞くと「朝渋を離れる」と言う。
え、どうして?
僕が聞くと、オリタ君の表情はさらに沈んでいく。すごく強引に1行にすると「料理の道に挑んでいくという気持ちをうまく伝えられずに去ってしまった」ということだった。その1行からこぼれる気まずさとか、切なさの塊。別々の道を行くとは、そういうものだ。
ビターチョコレートをかじった時の気持ち、というか。ふたりの間でにこやかに記念撮影をした僕も、ほろ苦い気持ちになった。とはいえ、もういい大人だ。間を取り持つのもな…と思いつつ、もやもやはぬぐいきれない。
それから少し経った夏のはじめのことだ。
とある企業の新商品発表の場で、偶然こーじさんと会った。
一通りの世間話をした後。
「最近、オリタと会ってますか? 実は…」とこーじさんから切り出される。話、聞いてます、と僕は答えながら、その話を出来たことに安堵していた。
季節は、秋に。オリタ君は、宣言通り、料理人の道へ。
その主戦場を「sio」という、新時代の料理店を探求するチームに参加し、没頭するように食と向き合っていた。
東京丸の内に「o/sio」という新店舗がオープンする。オリタ君はそこの料理人として入っていた。オープン記念のレセプションパーティーに僕は向かった。
一人の青年が旅するように居場所を経て、辿りついた場所での晴れの舞台だ。オリタタクヤの何かがはじまる時間でもある。どんな顔をしているのか見に行きたくてお店に入った。
とびきり特別な瞬間はスローモーション。
小さな花束を持ったコージさんがやってきた。
(おおっ)と心の中で思った。コージさんと会釈をする。コージさんがオリタ君に花束を渡す瞬間を見て、胸がいっぱいになった。友情の花。結局その日、お店の中でほとんどオリタ君を見ることはできなかった。ずっと厨房の中で料理をつくっていたそうだ。そんなところも彼らしかった。
その日の24時。オリタ君が、Facebookにさりげなくコージさんからもらった花をアップしていた。オリタ君の晴れやかな笑顔が見えた気がした。
「友」という漢字の語源を調べた。
「友」という字は「ナ」と「又」を合わせた形。「ナ」も「又」も「手」を意味する。「友」は手と手を合わせた形。手と手を取り合う姿が「友」だそうだ。
この3月に僕が新刊「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」を出すと発表した時に、「刊行イベントをやりましょう」と真っ先に連絡をくれたのがこーじさんだった。そのスピードがとびきりうれしかった。そして、こーじさんが新刊「昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です」を出した。僕は近い将来、オリタ君が料理本を出すのだと夢見ている。
ふたりのイベントを、特等席で見ていたい。
ほんとうの友達ってなんだろう?
僕は思う。いい時も、そうでない時も、色々を乗りこえて、お互いにとっての「その時」に、しっかり手を取り合える関係だと思う。
友達は単純じゃない。綺麗事じゃない。
好きだったり、嫌いだったり。許せなかったり、でも憎めなかったり。また、会いたくなる。その関係が、良い時も、悪い時もある。苦い、甘い、酸い、甘い。出汁が出てくるみたいに、それゆえ豊かで、それゆえ味わい深い。それがいいんだよね、きっと。
こーじさん、刊行おめでとうございます!
またいつの日か、3人で早起きしてイベントしましょうね。