新入社員のじぶんへ「当たり前のことを当たり前のようにやる。焦るな、それだけでいい」
「テニスと一緒で、打ち返さないと!」
新入社員になって、しばらくは研修がある。研修が終わると、配属発表があある。広告会社に入社して、僕が配属されたのは「人事局」だった。人事に配属された時に、先輩に教えてもらったのが冒頭の言葉だった。
(その前に思う…希望通りの配属が叶う人の方がわずかなんじゃないだろうか。今振り返れば、11年前に、人事の仕事の道を通ってきたからこそ今があると胸を張って言える。この話はまたいつか)
部署に配属されたら、先輩にくっついて仕事の仕方を学んでいく。ある日の夜に先輩から着信があった。時間も時間だったので、次の日にかけ直せばいいかなと、それに、出社したら顔を合わせる訳だし。翌日、先輩から言われた。
「テニスと一緒で、ボールが来たら打ち返さないと!気づいていますよというアクションはしたほうがいいよ」
そう、たとえばショートメールだったり。当時はLINEもなかったからワン切りでも、と。余裕がある時は、ボールは手元に残しておかず、即レス・即返信をした方がいいんだということに気づく。
右も左もわからない時は、受け取ったらとりあえず何かしら反応する。報告・連絡・相談のホウレンソウができたらいいけど、カッチリしすぎず、雑談・相談のザッソウくらいでいい。先輩から言葉を引き出していくといいんだと。
ほかにも、仕事を任される。考えてもなかなか答えはでない。ぐぬぬ…。ふんぎりがつかなくて、期限すら過ぎてしまう。大切なのは時間を守ること。時間をかけすぎて100%で返すのではなく、60%でいいからすぐ返したほうがいい。このことも体感で覚えた。
ボールを持ちすぎると不安になるし、そもそも何を持ってるかもわからなくなってしまうことがある(ほんとうにある笑)。テンポの良い連絡の往復によって、信頼を蓄積していけるということにも気づく。そうなると、リアクションが遅れたときに、逆に心配してもらえるようにさえなる。反応が良いキャラクターでいて良かったとすら思う。
すごく、当たり前のことばっかりだ。
今日、会社で見かける新入社員の方たちを見て、かつてのじぶんに言いたくなった。当たり前のことを当たり前のようにやる。足早に通り過ぎていく人がたくさんいる。でも、焦るな、当たり前のこと、それだけでいい。それをやりきる難しさも知ってるけど、信頼される近道は、とても地道なことなんだ。視野が広がってきたら工夫していけばいい。
過去を肯定するために生きている。これからのために、これまではある。それは間違いない。
2023年、この春、新刊を刊行しました。テーマは、『選ばれなかったこと』です。タイトルは、『あの日、選ばれなかった君へ 新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ』です。