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デイトレ初心者が勝てるようになるためにやるべきこと【4-③.トレード手法の過去検証をしっかりやる(後編) 〜検証結果の精査やルール補正など〜】

こんにちは。
この記事を開いていただきありがとうございます。

この記事は、僕がデイトレ初心者を卒業し毎月コンスタントに利益を出せるようになった経験から、現在まだ成果を出せていない人がやるべきことをまとめた【デイトレ初心者卒業シリーズ】を構成する7番目の記事です。

まだ最初の記事を読んでいない方は、そちらから読んでいただくことをおすすめします。

【デイトレ初心者卒業シリーズの記事一覧(暫定)】
0.デイトレで勝てるようになるためにやるべきこと(ざっくりまとめ)
1.リスク管理を学ぶ
2.テクニカル分析を学ぶ
3.トレード手法を学ぶ
4-①.トレード手法の過去検証をしっかりやる(前編)
4-②.トレード手法の過去検証をしっかりやる(中編)
4-③.トレード手法の過去検証をしっかりやる(後編)  ☜今回はココ
5.ファンダメンタルズ(世界経済)の勉強をする ※準備中 m(_ _)m
6.知識やアイデアをアウトプットする ※準備中 m(_ _)m
※今後の執筆状況によりコンテンツが変更になることがあります。


【注意事項】
本記事は、主に日経225先物等をトレードしている投資家向けに、執筆者の経験やトレード技術や経済、政治などを解説する目的で作成されています。
本記事の内容は、実際のトレードでの利益を保証するものではありません。
実際の取引はご自身の判断と責任により行って下さい。


本記事は、「トレード手法の過去検証をしっかりやる」という章の(後編)です。
まだ(前編)を読んでいない方は、そちらから読んでいただくことをオススメします。

前編は、”過去検証の重要性や注意点等”についての解説です。
中編は、”具体的な作業内容”についてです。
後編は、”検証結果の精査”や”ルール補正などの補足事項”についてとなります。


以下、本文です。
よろしくお願いします!


■検証結果の精査

本検証でサンプルを集め終えた後、実戦に投入できそうかの精査を行う必要があります。
トレード手法(ルール)について、実戦で使っても良さそうかどうかを判断する基準は人により様々ですが、僕は以下の基準を設けています。

【コータローの判断基準】
①破産確率が1%未満
②勝率が60%以上
③ほぼ毎年利益がプラス


「①破産確率が1%未満」について

ここでいう破産確率とは、「1.リスク管理を学ぶ」の章でも扱った「バルサラの破産確率」を指します。
僕は、「破産確率が十分低いトレード手法を用いる事で、退場するリスクを相当程度 遠ざけることができる」という前提に立って、トレード手法のリスク判断を行っています。

破産確率は、検証で取得したサンプルから勝率と損益比を計算し、リスク資金比率を決めることで計算できます。
(用語がわからない場合は僕の過去記事を読み返すか、ググってみてください。)

僕の場合、「破産確率は"0%"」を目指すことにしています。
妥協して1%未満です。

(参考)
 勝率60%、損益比1.5のトレード手法をリスク資金比率10%でトレードしたときの破産確率は”0.127%”です。
 勝率と損益比が同じで、リスク資金比率を2%にしたら、破産確率は”0%”になります。

 もちろん、破産確率はあくまで理論上の計算結果であり、現実に退場するリスクが絶対に0%となる事は保証されません。
現実のトレードにおいては、検証時点と同じ相場が続くとは限らない、検証した手法を正しく運用できない 等の不確定要因があるためです。

しかし、理論上でも破産確率を0%に抑えたルールを設定することで、短期間で資金の大半を溶かすようなリスクを相当に遠ざけることができます。
そして「退場するリスクをできるだけ遠ざける」ことで、以下のような多くのメリットを享受できるのです。

・実戦でのトレード回数を多くこなすことができる。
・最小限のコストで、トレードの経験値をより多く蓄積することができる
・(トレード手法が機能すれば)収益機会を最大化することができる
・メンタルの負荷を軽くすることができる ←重要
・退場しない自信がつき、規律を守りやすくなる ←超重要


「②勝率が60%以上」について

勝率は、大事です。
何を当たり前のことを言っているんだと思われることでしょうが、皆さんが考えている以上に、勝率の高さは重要なのです。

これは、「連敗数を抑える」ということを重んじているがための発想です。

皆さんもすでに体感していることとは思いますが、連敗が続くと非常にストレスが溜まります。
負けが続くことで自信を失ったり、自分の手法への疑念も湧き出てくるようになります。
こうしたストレスや混乱は、正常な思考を妨げ、トレーダーがルール通り行動することを阻害します。

もちろん前提として、「トレード手法が機能しなくなっていないか」の確認は必要なのですが、、、
トレード手法に問題がないのに、正しく運用できずに利益を逃してしまうことはトレーディングの収益性を毀損します。

トレードの利益とは、正しい思考・行動の結果としてもたらされます。
そして長期的に正しい行動をし続けるためには、「連敗のリスク」を可能な限り引き下げることが重要です。
よって、自分が使うトレード手法に対しては、「十分低い破産確率」に加え、「なるべく高い勝率」も要求すべきなのです。
※勝率は、損益比とトレードオフの関係性にあることには注意が必要。
※検証の結果、異常に高い勝率や損益比となった場合は、一旦検証結果の再精査をすることが必要です。(サンプル数が少なかったり、サンプルの偏り等の問題が隠れている可能性があります。)

僕の場合、ルール補正前の勝率は50%前後、損益比は1.5〜2.0くらいが適正水準と考えるようにしています。
(ルール補正後では勝率が60〜75%くらい、損益比が1.5〜3.0くらい)

もし勝率が80%台を超え、かつ損益比が1.0以上となった場合は、一度検証プロセスやルール設定を疑うようにしています。
※無意識に有利なサンプリングをしてしまっていたり、現実に運用不可能なルール設定となっている可能性があるため。

なおここで解説したのは、サンプリング完了後の、素の状態でのトレード手法のパフォーマンス精査です。
より高いパフォーマンスを得るためのルール補正について、具体的な方法は後述の「ルール補正のアイデア事例」で詳しく解説します。


「③ほぼ毎年利益がプラス」について

相場は、年により上昇/下降が多かったり、値動きに乏しい日が多かったりします。
トレード手法には、相場の状況による得意不得意があるのが当然なのです。

しかし仮に、年単位で大きな損失と大きな利益を繰り返すような手法があったとして、これを冷静に運用できるかというと、極めて厳しいと言わざるを得ません。

「安定して利益を上げる」という観点からは、どのような相場であれ毎年確実に損益がプラスになるような手法を使うべきなのです。

長期間(※)にわたり毎年収支がプラス、または大きな損失にならなかった手法は、長期の株価動向にかかわらず通用する(大失敗しない)手法といえます。
※目安は直近の10年間

なので、本検証の結果については、毎年の合計収支もチェックするようにしてください。

ちなみに、トータル損益がマイナスになる年が複数ある手法は、以下のような問題点を抱えている可能性があります。

・不得意なトレンド(上昇、下降、横ばい)では極めて勝率が低い
・過去の一時期だけ大きく稼げているが、それ以外では全く機能していない
・大きなドローダウンが何回も発生  etc...


その他の基準

上記では、トレード手法の優位性を確認する基準について、特に重要なものを解説してきました。
ここでは、その他に僕がチェックするようにしている項目について解説します。

●利益/損失額分布
Excelなどの表計算ソフトを使えば、サンプリングしたトレードを集計することで、利益/損失額の分布を出すこともできます。
同じ要領で、「最大含み益」の分析もできます。(サンプリングの際に、利食い/損切りまでの最高値/最安値を記録しておく必要あり)
こうした分析を行うことで、利益/損失額の最頻値や、最大ドローダウン等を把握することができます。

【利益/損失額の分布分析イメージ】

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●連勝/連敗数分布
過去チャート時系列に追ってサンプリングしておけば、連勝/連敗の過去実績を分析することもできます。

【連勝/連敗分析イメージ】

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●利食い/損切りまでの期間分布
エントリーしてから決済するまでの期間を分析することも非常に有用です。
自分の手法でのトレード期間が、大体どのくらいの範囲で収まるのかを把握することで、利食いや損切り判断を行う際の助けになります。

【利食い/損切りまでの期間分布の分析イメージ】

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 上記のほかにも、様々な分析方法が考えられます。ご自身で情報収集する中で良さそうなアイデアがあれば、何でも試してみるのと良いと思います。


■ルール補正のアイデア事例

本検証結果の精査と並行して、トレード手法のルール補正(微修正)についても検討してみてください。

なおここでいう微修正とは、
「本検証で使用したルールにいくつかの条件を付け足すことで、より良いパフォーマンスを得ることを目的とした微修正」
をいいます。
※トレンドラインの引き方の変更だとかの、本検証で使用したルール自体に修正が必要なレベルの修正は想定していないのでご注意ください。

僕がよくやるルールの補正方法は以下の通りです。

●分割利食いの導入
「含み益が◯◯円以上になったら建玉の1/3を利食い」といった具合で、最終的なエグジットまでの間に、段階的に利食いを行う手法です。
分割利食いを導入することで、勝率が高まりやすくなる一方、損益比は低下する傾向にあります。
●最大ロスカット額の固定(勝率DOWN、ペイオフレシオUP)
「含み損がマイナス◯◯円以上になったら強制的にエグジット」というように、最大のロスカット額を限定する方法です。
これを導入すると、勝率が低くなる代わりに損益比が改善する傾向にあります。
ただし、ロスカット値固定を正しく取り入れようとしたら、本来はサンプリング時に、指定値のロスカットにかかったかどうかの情報を取得している必要があります。
サンプリング終了後の段階で最大ロスカット額を勝手に小さくしても、正しい結果を得られないのでご注意ください。
●MAからの乖離率等でフィルター
「200日MAからの乖離率が◯◯%以上の場合のみエントリー」等のように、指定のインジケーターとの乖離率が大きい/小さい場合のみに絞り込む方法も比較的一般的です。
「インジケーターと株価の乖離」のほか、「異なるパラメータ設定のMA間の乖離」をみる方法もあります。
「ゴールデンクロス/デッドクロス」パターンなどは超有名ですよね。
そのほかにも、MA以外のインジケーターでもフィルターを作れるので、色々と試してみると良いと思います。
●RSI等のインジケーターによるフィルター
RSIやMACDなど、「買われすぎ/売られすぎ」を示すインジケーターが多数あります。
エントリー時における、これらのインジケーターの数値を同時に取得することで、フィルタリングに使えるかどうかの分析ができます。
●上位足の支持抵抗線・トレンドラインとの乖離や反応方でフィルター
予め上位足でのラインを引いておき、そのラインとの反応の様子を記録しておくことも有意義な場合が多いです。
僕の場合は、月〜日足のラインとの”タッチ”、”ブレイク”、”ブレイクワンタッチ”がエントリー前後で発生しているかの情報を記録するようにしています。
●チャートパターンとの組み合わせ
エントリー条件とは別に、何らかのチャートパターンが発生しているかどうかを記録しておく方法です。
包み足、ダブルトップ/ボトム、トライアングル、ボックスなど、エントリー前後で有名なパターンが同時に発生しているかどうかの情報も記録しておくことで、トレード手法のパフォーマンスとの関連性を分析できます。


上記に挙げたような様々な情報・条件によりルールを補正することで、勝率や損益比の改善を図ります。

なお、基本的に勝率と損益比はトレードオフの関係性にあるため、両方同時に改善することは少ないと思っておいた方が無難です。

過去検証の作業に慣れてきたら、上記のようなルール補正を事前にイメージし、本検証で取得するデータ項目を決めるようにするとより円滑に検証ができるようになります。


■その他注意事項

本検証のサンプル数
本記事で紹介した検証手法におけるサンプル数について、”適正数量”を導くための科学的な定義は無いですが、結果の信頼性の観点からは100サンプル以上を取得することをおすすめします。
※本記事で解説した手法は、学問として確立された統計的な調査とは概念が異なります。

なるべく自分に不利になるようサンプリング
サンプリングの際にやりがちなのですが、未来の値動きやインジケーターを見て、有利なエントリーやエグジットを行わないようにしてください。
できるだけ自分に対して不利に働くように、厳しくデータを取ることをおすすめします。

過剰最適化に注意
トレードルールの補正においては、過剰な最適化をしないよう注意してください。パラメータ設定の条件を複雑にしすぎると、サンプル数が少なくなって信頼性が低下したり、そもそもルールが複雑で運用できない、等の問題が出てきます。
なるべくシンプルなルールで、それなりに満足できる結果を得られるように手法を設計することをおすすめします。

過去チャートと現実のチャートの見え方の違い
トレードルールを過去検証通りに正しく運用することを目指す上で、よくある落とし穴がこれです。
静止した過去チャートと、リアルタイムで動いており未来が見えないチャートでは、思いのほか見え方が違います。
三角保ち合いが違うチャートパターンに見えたり、トレンドラインを引く位置の微妙なずれなど、リアルタイムのチャートには判断を誤らせる落とし穴が多いのです。
特に、運用者の主観による判断の余地が大きいルールほど、実戦での運用の難易度が高まります。
僕の経験では、トレンドラインの引き方、チャートパターンの判断などが当てはまります。
どのようにトレンドラインを引くのか、目の前のチャート形状をどう認識するのか、といった、自由度(曖昧さ)が比較的高い処理をリアルタイムで実践するのは、想像以上に高度な技術と判断力を要するのです。


過去検証についての解説は以上です。
非常にボリュームが大きく、また細かい記載が多かったので、読むのが大変だったかと思います。
お付き合いいただきまして本当にありがとうございました。

この過去検証の方法は、僕が実際に試行錯誤しながらまとめ上げたものになります。
僕はこの方法を実践することでテクニカルトレーダーとして独り立ちすることができましたが、世の中には他にも様々な方法や考え方があります。
ぜひ、みなさんも色々な情報を調べていただき、しっくりくるものを取り入れながら、自分なりの方法を確立していただければと思います。
僕は、そうした「自分の手足を動かす試行錯誤のプロセス」のみが、トレーダーを独り立ちに導くと信じています。

そして、そうしたみなさんの成長過程において、僕の記事もお役に立てれば嬉しいです!


最後まで読んでいただきありがとうございました!
この記事が、皆さんのトレーダーとしての成長に貢献できれば幸いです。

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>>次の記事「7.ファンダメンタルズ(世界経済)の勉強をする」 ※準備中 m(_ _)m


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