円安是正のための緊縮をやるべきでない理由〜国際金融のトリレンマの観点から〜
「国際金融のトリレンマ」という国際金融論の理論がありまして、
一国が対外的な通貨政策を取る時に、①為替相場の安定、②金融政策の独立性、③自由な資本移動、の3つのうち、必ずどれか一つをあきらめなければならないというものです。
多くの先進国は、「自国通貨の安定」を犠牲にして、「金融政策の独立性」と「自由な資本移動」を選択しています。
欧州や中国、その他新興国での事例は以下のサイトでの解説が詳しいです。
日本は自由主義経済の国家であるため、自由経済の先進国では資本移動の制限を行う選択肢はあり得ません。
そのため、実質的に、金融政策の独立性を選択するために通過安定を捨てているのです。
これにより、景気循環に応じたマクロ経済政策の自由を手に入れています。
ところで、昨今のマスコミやその御用学者等が主張するように、“悪い円安“是正のために利上げを行うとどうなるのでしょうか。
こうした行為は、「自国通貨の安定」と「金融政策の自由」のうち、「自国通貨の安定」を選択することに他なりません。
為替水準は狭い範囲で安定するでしょうが、その代わりに景気動向に応じて自由に金融政策を行うことができなくなるのです。
為替は、「2国間の通貨の交換レート」です。
為替水準は、自国のファンダメンタルズだけでなく、相手国のファンダメンタルズや政策方針、そのたマーケットの思惑等によって変動するものなのです。
自国が経済減速期にあって金融緩和を欲している状況だったとしても、他国の事情で自国通貨安となっている場合は、十分な財政・金融緩和を行うことができない、ということになりかねないのです。
今回は国際金融のトリレンマの観点から、現状実施すべき金融政策の方向性について考えてみました。
これ以外にも、マクロ経済における原理論を理解しておくことで、マスコミや“有識者“が発するノイズに惑わされることなく、ファンダメンタルズを読み解くことができるようになりますよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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