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【データで見るNBA】今、負け続けるラプターズは何をしているのか?2024/11/15

弱いけど悲しくない

2024年11月15日現在、戦績2勝10敗。直近5連敗。勝率16.7%でリーグ単独最下位。
弱い。今年のラプターズは弱いです。

でも、ラプターズファンとして毎試合観戦していると、確かに怪我人が多くて主力メンバーは出れてないけど、出てるメンバーの頑張りや成長も見れるし、1ポゼッション差で惜敗するような手に汗握るゲームもする。
なんだか勝率ほど弱いチームとも思えないんです。

なので、なぜラプターズが今こんなに勝てていないのか?をデータを見ながら自分なりに考察してみたいと思います。


育成のためのオフェンス

まずはオフェンスから見てみましょう。
現時点のラプターズのOFFRTG(オフェンスレーティング)は110.6でリーグ20位。
その他主要なスタッツを見てみると

main stats

シュート効率は全然良くないですが、シュートアテンプトがリーグトップクラスに多く、結果として平均得点数ではリーグ中位につけています。

シュートアテンプトが多い理由の一つとして、オフェンスリバウンドがリーグ3位で、みんな頑張ってます。

ではリーグ上位に入るほどフィールドゴールを作れているのにオフェンスのレーティングがなぜ低いかというと、

3P stats

3Pが全然だからですね。
そもそもリーグで2番目に3Pを打ってないし、確率も悪い。
じゃあ大量に打っているシュートはどこで打っているのか?

shoot area stats

めちゃくちゃリムアタックしてます。
確かに直近の2試合、ADやロペスやヤニスが準備万端待ち構えるゴール下に次々とラプターズのみんなは突っ込んでいきました。
突っ込んでは叩き落とされるRJにディック。涙ぐましかったです。

このリムアタックはチーム全体の戦術がそうなっているのか?
それとも、バーンズやクイックリーの不在が続く中、RJが張り切りすぎて一人でリムに突っ込んでいるんでしょうか?

チーム全体のプレイタイプ別のスタッツを見てみます。

play type stats

うまくいっているかどうかはいったん置いておいて、
プレイタイプ別順位を見るに、アイソやポストアップの順位が低く、ピックアンドロールはボールマンがアタックするよりロールマンにアタックさせたい。
何よりも、ハンドオフとカットとプットバックが多いので、
みんなで動き回ってボール回して、とにかくいけるやつがリムに突っ込もう!
みたいな戦術を取っているようです。

実際、試合を見てみても今年のチームはボールがよく回っているな~と感じます。

pass stats

データ上もリーグ3位と高順位なので、間違ってなさそうです。

では、なぜラプターズはこんなに3Pが重要とされる今のNBAで、時代に逆行するような戦術をとって負け続けるのでしょうか?
そんなにクーパー・フラッグが欲しいんでしょうか?


ここで思い出すのは、2年ぐらい前のOKCです。
5OUTでボールを回してドライブ、キックアウト、ドライブ、ショットと繰り返すあの戦術。
当時OKCのHCディグノートは、それを育成のための戦術と言っていて、実際にバスケットに必要な「ドライブ・パス・シュート」を出場するすべてのメンバーがチャレンジできる環境でメンバーをしっかりと育成したことが、今のOKCの強さの一つの要因になっているのかなと、今となっては思います。

今ラプターズはドライブはそこまで多くなく、むしろカッティングの方が多いので、完全に当時のOKCがとっていた戦術と同じというわけではなく、むしろトップ付近でビックマンがボールを持ってハンドオフやカッティングにつなげるので、SACのスタイルに近いのかな?と思いますが、
いずれにしろ、出場メンバーの役割を固定しすぎず、アテンプト機会を増やすことで、育成にチャレンジしているのでしょう。

もちろん、このデータはバーンズやクイックリーがほとんど欠場している期間のデータであり、バーンズが戻ってくればアイソレーションが増えるかもしれないし、クイックリーが戻ってくればP&R Ball Manのポゼッションは増えるかもしれないですが、それは復帰後にまたデータを見る楽しみにしておきます。

オフェンスを分析した結論としては、
育成をメインにおいているので、勝ちに直結する選択をしているわけではない
です。

では、勝てない理由は育成メインの戦術だからだけなのでしょうか?
ディフェンスの方も見ていきましょう。


ゴール下が傷だらけのディフェンス

deff stats

ええ、こんなに負けてるんですからディフェンシブレーティングだって低いです。
なんでこんなに低いのかを見てみましょう。

deff stats

これは、リムプロテクトが弱いですね。

ここ2試合ほどは新加入のブルーノ・フェルナンドが頑張っていますが、それまではローテーションにほとんどは入れていなかったので、パートルがいない時間帯は細身なブーシェか、ルーキーのジョナサン・モグボが5番をしていました。
モグボも悪くないですが、身長が対戦相手のビックマンと比べて高くはないので、どうしても苦しい場面がありました。
頼みのパートルも、正直機動力に難ありなので、外につり出されると他に中でカバーできるメンバーがいないのでやっぱりゴール下がきつくなります。

さらに悪いのが、このリムプロテクトが弱点になった結果起きる、ファール数の増加です。

PF stats

今ラプターズはリーグで一番ファールをしています。バッドボーイズです。

リムが薄い→何とかカバーしようとする→無理が出る→ファールになっちゃう
という悪循環が起きてしまっているのかもしれません。

オリニクが離脱しているのでビックマンの枚数も少なくなっていますし、バーンズは5番まで守れるので、バーンズの離脱も痛いです。

ただ、ペリメーターのディフェンスには、ミッチェル、ジャマール・シェッド、オチアイ・アバジとタレントがそろっています。
5番では厳しい場面があるといったモグボも、アントマンを1on1でシャットアウトできる守備力があります。
守備的なタレントは意外と充実しているので、けが人の復帰を待ちたいところです。

ディフェンスを分析した結果としては、
怪我人が多いとはいえ、とはいえリムプロテクトが弱いぞ!
でした。

短期的には怪我人の復帰を、長期的にはGリーグで鍛えられている18歳のシャムシェ君の成長を待ちましょう。


若さゆえの粗さ?

ちなみに、データを見ていて気になったことがもう一つ。

TOV stats

ターンオーバーが多いです。
試合を見ていると、特にパスミスが多いです。

オフェンスの分析で明らかにしたように、今年はパスが多く、若手がメインのチームではどうしてもエラーが起きるのでターンオーバーが多くなるのは仕方がないのかもしれません。
でも、このターンオーバーが無ければ、接戦で落としたクリッパーズ戦、ナゲッツ戦、ホーネッツ戦みたいな試合は、もしかしたら勝ててたんじゃないかな~と、どうしても思ってしまいます。


ラプターズはこのまま負け続けるのか?

ラプターズは再建に入ったばかりで、若い選手も多く、今勝ちにこだわる段階のチームではありません。
実際に分析してみても、勝ちよりも育成にフォーカスした戦術をチームとして重要視しているようです。

それでも、怪我人の復帰によるリムプロテクトの改善や、連携の強化によるターンオーバーの削減などで、今よりも少しは勝率が上向く可能性も見えてきました。

ラプターズファンとしては、今年は最初から勝ちにいくとは思っていなかったので、このまま負け続けたとしても覚悟はできています。
それでも、ただで負けるのではなく、これが何かにつながっているのだと思いたかったのでまとめてみました。

長々と書き連ねてしまいましたが、ここまで読んでいただいてありがとうございました。
また次の分析でお会いしましょう。

We The North!



(でもやっぱりちょっとは勝ち試合が見たい。)


この記事で参照しているスタッツは、すべてnba.comのstatsページを参照しています。
https://www.nba.com/stats/teams/traditional

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