バンドに「コンセプト」は必要か?
広告やデザイン、映像の仕事をしていると、「コンセプト」というワードが頻発します。なかなか日本語に訳しにくい言葉だと思いつつ、意味としては
ChatGPT先生に聞いたところこんな答えが返ってきました。ふむ。
よく考えたら日常生活じゃまず使わないですよね。
でも、優れた創作物にはかならずコンセプトがあります。
おおきなところでは宗教にも存在します。
例えばtoconoma野音ワンマンライブのコンセプトは「WEEKEND HEAVEN」でした。
つまるところ週末を天国にすることを目指したわけです。上記コンセプトが決まってから美術や衣装、照明やらさまざまなものがWEEKEND HEAVENを体現するためにデザインされていきます。言うなれば海路における北極星みたいなものですね。チームの皆が共有する指針です。判断に迷ったらコンセプトに立ち返ります。
で、掲題の件。
そもそもバンド自体にコンセプトって必要なの?
個人的には「あると捗るが、なくてもそれなりにできる」が答えだと思います。ふわっとしてるよね。
例えばtoconomaの最初のコンセプトは「モテるインスト」でした。率直にIQの低さが伺えますよね!ただの欲やんけ。
コンセプトと言うにはあまりに稚拙なんですが。。。。まあ、なんも無いよりかはマシというか、ある種の指針としてはワークしました。いくつかのメロディーで迷った時に「コッチのほうがモテそう」という判断がくだせるという。超主観だけどね。当時は硬派なインストバンドが多かったので差別化にはなりました。まあたいしてモテなかったんだけど。
もちろん若い時はコンセプトに自覚的だったわけではなくて、今思い返してみれば、っていう感じです。今でもそんな堅苦しい話はメンバーとしません。個人個人が勝手に思い描いてるはずです。
そしてバンドが成長していくとコンセプトが微妙に変わってくるのが面白かった。例えばPOOL〜TENTをリリースした2014年ごろは「フェスで踊れるおしゃんなバンド」がコンセプトだったと思います。当時はフェスの隆盛期。どのバンドもフェスに出ることを目指してた時代ですね。あの頃はフェス会場で輝く存在、そこでワークする曲を作りたくて躍起になってました。服もそっち系だったし。
その4年後、2018年には念願のフジロックに出演できたりして、運良くコンセプトは実現しました。本当に皆さんのおかげ。ついでに、この頃には結婚してたので、モテたい欲はほぼゼロになっておりました。ほぼ色即是空。
そして2020年にVISTAというアルバムが出ます。この時期は自分たちの音楽スタイルにめちゃくちゃ自覚的になっていて「ビートミュージックと邦楽的エモさの融合」みたいなことがコンセプトになっていました。そもそも昔からtoconomaがやってきたことをようやく言語化できた状態です。キャリアも音楽的知識も蓄積されたからこそですね。ある種フュージョン(融合)に回帰したともいえます。実に日本的。いろんな文化をミックスするのは日本の得意技ですから。
洋楽と邦楽どちらも聴いてる人はわかると思うんだけど、海外のいいメロディーと日本いいメロディーって全然違うんです。僕はどっちも好きなんだけど、日本の音楽はガラパゴス(閉鎖的)と言われたりします。各国のヒットチャートと見比べると一目瞭然です。メロディーも構成もミックスも違う。
「それじゃK-POPみたいに世界に通用しない!」っていう人もいれば、「いやいや独自性があってええやん」っていう派閥もあったりして……。僕は後者の感覚ですね。J-POPわりと好き。洋楽はもちろん好き。
例えばALOEていう曲は、「トラップの洗礼を浴びたオールドヒップホップのドラムに、CHAGE & ASKAがメロディーを書いたら…」というコンセプトから逆算して作りました。言葉にするとわけわかんないよね!
我ながらええ曲だよな…。
お気づきの方もいらっしゃると思いますがこの頃は、バンド自体のコンセプトが楽曲まで浸透してきました。Futurezという曲は小室哲哉先生とケミカルブラザーズが合体したら……なんてことを先に考えてたり。
まあコンセプトがなくても曲は作れるんですけど、あるとやっぱり面白いんですよね。何よりメンバーの目線が揃うのがいいです。迷いが少なくなるというか。やっぱり指針があると助かります。ジャッジが明確になる。これはデザインの仕事でも一緒ですね。
そして野音を経た今では、またバンドのコンセプトが変わりつつあります。
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