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「くるりのえいが」を観てきました

中学生のころだと思います。僕が住んでいる東京都多摩地域では「TVK=テレビ神奈川」が受信できて、夜な夜なドープな音楽番組が放映されていました。
「ライブY」や「ミュートマ・ジャパン」……。わかる人にはわかると思いますが、新進気鋭のバンドやエッジーなシーンが特集されていて、厨二病のハートにぶっ刺さりまくっておりました。録画したVHS(古代の記録媒体)が実家にまだあるはず。

そのTVKの番組で、確か1998年だと思うのですが僕は「くるり」という京都のバンドに出会います。放送された曲は「東京」。端っこといえど東京生まれの僕には、その郷愁的エモさを全て理解できたわけではありませんが、とにかくギターリフがかっこよくてすぐ真似したのを覚えています。

それ以来、ずっとくるりが好きです。中学生から社会人に至るまで、人生のBGMとして伴走してくれている気がします。思い出にはいつもくるりが鳴っておる。書籍「くるりのこと」は定期的に読み返すほど好き。彼らの歴史を紐解いたインタビュー本です。


今年はありがたいことに、というか念願かなって、朝霧JAMでは同日にブッキングされ、なんと同じメインステージに出演です。いまからワクテカ(死語)がとまらない。密かに楽屋裏でお声がけできないか画策中。片思いってこんな感じだったよな確か。

そんな彼らが新アルバム「感覚は道標」をリリース、そして初のドキュメンタリー映画が公開されるとのことなので観に行ってきました。メンバーチェンジが激しいことで「ブラック企業バンド」とも揶揄されるくるりですが(実際はそんなことない)、なんと今作のレコーディングにあたっては脱退したオリジナルメンバーのもっくんを招聘するという体制。ある種の原点回帰を狙ったとも言えます。

先立って聴いた音源は、初期のくるりを2023年に再定義したかのような不思議で懐かしくも新しい質感のアルバムでして、どんな制作過程なのか同じバンドマンとしてめちゃくちゃ興味を覚えました。これは観にいくしかない!と思い立って子供を妻に見てもらい午前中の映画館へ。

レコーディング・ドキュメンタリー映画なので、わりと淡々と進みます。クライマックス的な盛り上がりもないのですが、僕としてはすげえ面白かった。まあファンだし、ある種の同業目線で観てるので当然なんですが……。
バンドって作曲やアレンジの過程が世の中に出ることってまずないじゃないですか。僕らも他のバンドがどんな風にレコーディングしてるか全く知らないんですよ。特にくるりほど音楽的素養が豊かで緻密なサウンドを作るバンドが、どんな工程で、どんなバイブスで、どんな会話でクリエーティブしていくのかめちゃくちゃ知りたかったです。

で、映画を観て……率直にいうと「僕らとやってることは(あんまり)変わらない」という衝撃を受けまして……。ええ、とても驚きました。

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いしばなし

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インストバンドtoconomaのギター石橋がお届けするよもやま話。バンドにまつわること、デザインのこと、コラムなど。SNSでは書ききれない…

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