僕は30歳でデビューした遅咲きだった
先日、とあるクリエーティブ系の若者から「もうすぐ20代後半なんですけど、大丈夫でしょうか……僕は芽が出ますかね……?」と相談されました。正直言葉につまっちゃったのですが、その気持ちはものすごく分かります。僕もそうだったから。
思い返せば20代の頃は、会社の仕事をヒーヒーこなしながら、週末にアマチュアバンドとして活動する生活でした。自作の音源をCD-Rに焼いて売ってたものの、世間的には無名。さながら大海に漂うプランクトン。某フェスのオーディションでは主催者に「スペアザの二番煎じみたいなバンドだね」と言われたりしました(チクショー!)。
デザインの仕事も順調とは言えませんでした。膨大な業務で残業は200時間越え。会社に常備した寝袋にくるまり、華やかなスターデザイナーに憧れてひたすら泥を飲むような生活。大学の同級生が○○デザイン賞で入賞した…みたいな噂を聞いては「ああ、おれは何者かになれるのだろうか……」と嫉妬&焦りと闘っていた記憶があります。
いわゆるクリエーティブ系の仕事は残酷です。あるかわからない自分の才能を信じて、過ぎ去る時間に怯えて、それでもなお全力を尽くさねばならぬという。今はだいぶマシになりましたが、窒息しそうな20代だったと思います。この辺の焦燥感は漫画「左利きのエレン」でリアルに描かれているので良かったら読んでみてください。新人の時代を思い出すぜ…!
結果論ですが、僕に転機が来たのは30歳の時。2013年ですね。毎年応募していた若手の登竜門「毎日広告デザイン賞」に入賞し、toconomaは1stアルバム「POOL」をリリースしてタワーレコードの新人賞「タワレコメン」に選ばれます。デザイナーとしてはギリギリ、バンドとしてはかなり遅咲きです。同時期にデビューしたバンドは全員年下でした。(そして今ではほぼみんな解散してしまったという厳しい現実よ……)
それからのtoconomaの歩みは皆さんがご存知の通りですが、今思えば遅咲きで良かったと思います。当時バンドの演奏力はチンカスみたいなもんでしたが、
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