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【音楽家の知能指数】音楽家に必要な3つの能力とは!?
音楽家を目指す方、音楽家に興味のある方、音楽家って賢いの?
本日はそんな音楽家の知能指数に関するコラム。
結論『幅はかなり広い』
知能指数をどうやって測るかという問題が関わってきます。
あまり意味のない概念ですが、IQというとても狭い指数で測るとすれば平均以上、もしくは平均よりもわずかに高いかもしれません。
IQテストに見られるような、徹底してロジカルな認知処理と、ピカソのような画家が映し出してきたような創造力は、まったく異なるモノだ。
ピカソであればおそらく、ハーバード大学のスティーブン・ジェイグールドの意見に賛成しただろう。
『一つの実態として知能を抽象化し、脳内に知能を位置付け、各個人に一つの数値として知能を数量化して、これらの数値を使って人々を単一の価値体型にランクづける』のは浅はかなことだろう。
音楽というのは一定の範囲内で俯瞰的且つ抽象的に物事を捉える能力が求められるため、IQテストでは数値が高くなる傾向になることは十分考えられます。
学歴という面で見ると当然中卒〜博士号を持っている方まで幅広くいらっしゃいます。
では頭の良さは必要ないのか?
音楽家になるためにすること。
それは感性をひたすら磨き続けていればいいのか?
次に音楽家になるために必要な能力についてみていきましょう。
音楽家になるために必要な3つの能力
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音楽家になるために必要な能力は大きく分けて3つあります。
運動神経
算数の能力
芸術に関する幅広い知識
まず運動神経は楽器を演奏するのに必須の能力であり、運動神経が鈍いということは同時に演奏能力が低いということになります。
楽器を演奏するということは一部においてアスリート並みの筋力と力の緩急を調節する高い能力が求められます。
そのため、ウォーミングアップなしでオリンピックにでるアスリートはいないのと同じようにウォーミングアップなしでいきなり本番を迎えるミュージシャンは基本的にいません。
会場に到着してそのまま本番〜という方もいらっしゃいますが、基本的にパフォーマンスです。
そういう方はタクシーや移動の車内で黙々とウォーミングアップしていたり、移動中もずっと練習していたりします。
ジャズミュージシャンとして有名なエリックドルフィーは本番が終わるとタクシーに乗り込み車内で練習、家に帰っても練習、とにかく練習ばかりしていたと言われています。
それはそれは会場に到着してすぐに本番できるわけですね。
ちなみにもしエリックドルフィーに興味があるなら『アウト・トゥ・ランチ』と『ラスト・デイト』は必ず聴いてください。
算数の能力?〜プロが使ってる楽譜
数学力があるに越したことはありませんが、基本的に必要ありません。
しかし算数は必須になります。
足し算や引き算が苦手な方はしっかりとトレーニングしておいてください。
音符を数えたり、引いたり・・・
例えば一例を出してみましょう。
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こちらは有名な赤とんぼの楽譜。
スタジオでの音楽療法士育成トレーニングの教材として準備していたもの(楽曲の著作権は消滅しています)ですが、音符が妙に少ないですよね。
西洋古典以外でプロが使う楽譜はこんな感じなんです。
いえ、西洋古典だって、この形式にすることができるんです。
こんな感じでコードが上についていてメロディーが書いてあるというのは見慣れているかもしれませんが、下についているローマ数字はなんでしょうか?
これはプロの音楽家が頭の中で描いている楽譜の様子を記載したものになります。
移動度で楽曲を演奏する際に必須の考え方です。
この曲は変ホ長調。
さて、『この曲をロ長調で演奏してください』と言われてすぐに移調できるでしょうか?
このローマ数字の仕組みがわかれば一瞬でできるようになるわけです。
トニックとなるE♭に対して何度の距離にあるのか?を示していますが、これをほぼ一瞬のうちに足し算する算数力が必要になってくるわけです。
大丈夫!
慣れればできます。
ジャズを演奏する場合
その他ジャズを演奏する場合はリズム遊びをすることが多く、リズムセクションはアドリブの中でリズムを括ったり解いたり、いろいろ遊びます。
ジャズドラマーのBilly Kilson(ビリーキルソン)はそんなリズム遊びの名手。
ビリーキルソンのドラムソロをちょっとだけ覗いてみましょう。
リズムを括ったり解いたりというのはこんな感じ。
算数ができないと厳しそうでしょう?
幅広い知識と教養
これも必須の能力になります。
音楽だけに限らず絵画、陶芸、インスタレーションアートのような現代アートまで、幅広い知識と教養が必要になります。
そのため本が嫌いな方は音楽家の道に進むことは難しいでしょう。
算数の能力とともに歴史やアートの知識含めて様々な本を読むことを心がけてください。
まとめ:賢さはいらない?
ここまでみてくるとお分かりかと思いますが、音楽家は算数と読書、あとは感性でOK?
そんなに高い知能指数は求められていないことがわかります。
ただしこの読書の部分は相当努力しましょう。
音楽家同士で飲みに行ったり話をしたりすると話題は実に多岐に渡ります。
しかもどの分野もマニアック。。。
21世紀の昨今ですから先ほどお話しした楽譜の移調のようなスキル。
ジャズBGMの現場や音楽療法士にとっては必要なスキルにはなりますが、その多くはコンピューターがカバーしてくれます。
これから必要になってくるのは知能指数よりも圧倒的にEQ(心の指数)であると思います。
ロジックで構成された音楽も魅力的ですが、AIがすでに社会に浸透している昨今、今後は人間だからこそできる音楽、演奏、人間にしかできない演奏こそが求められる時代、そしてそれが芸術の本質なのではないかと思うわけであります。