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『お医者様』という言葉への違和感

こんにちは。Wellness, Inc代表医師の中田航太郎です。忙しい労働世代が効率的な科学的に正しい健康管理を実現するためのパーソナルドクターサービス『Wellness』を提供しています。

さて先日知人医師に頼まれ、新型コロナウイルスワクチンの接種会場で問診のをお手伝いしてきました。その際に、受付からこんな言葉が聞こえてきました。

『このあと、お医者様の問診がありますので、そちらのブースにお進みください』

僕はこのとき、いまだに『お医者様』という呼び方が世の中でなされていることに衝撃を受けました。なぜ看護師さんや理学療法士さんといった表現をするにも関わらず、医者にだけ『様』をつけるのか?この背景には、かつての『パターナリズム』的な医療の姿が影響しています。

つまり、『医療のことは私に任せておきなさい』という過剰な依存性を生み出してきたのです。結果として日本人のヘルスリテラシーは世界でも最低レベルになってしまっています。

海外の医療現場では、医師に対して患者さんが治療方針を提案したり生活習慣に関して主体的に質問をするのが当たり前です。しかし日本においては、『先生、なんとかしてください』『先生の言われた通りにします』という受動的なマインドの方が非常に多いです。

勿論辛いときに医師を頼るというのは間違っていませんし、そのために医師が存在するわけですが、日本ではパターナリズム的な医療が横行した結果、『医師・医療に任せておけばいい』というマインドが生み出されてしまい、自分の健康に対して責任を持たない人が増えてしまったのだと思います。

しかし本質的には、一人一人が自分の健康に関心を持ち、主体的に健康を維持することが大切です。医師はあくまで科学に基づいたエビデンスを提示する情報提供者であり、適切な意思決定を支援する人生のパートナーであるべきだと思います。

『お医者様』時代の終焉

人々の多様性が許容される現代において、生き方の解は一つではありません。あくまで答えは一人一人が導くべきであり、医師はそれをサポートする存在であるべきだと思います。もう、『お医者様』と言われるような距離の遠い医師像に価値はありません。

これからの医師には、一人一人の人生に長期目線で寄り添い、医療データに限らず、価値観やライフスタイルなども踏まえてパーソナライズされたアドバイスを提供できることが求められていきます。ガイドライン通りの治療方針を万人に繰り返し発言するだけであれば、その役割はAIに奪われていくでしょう。

Arts on Scineceという言葉がありますが、医師はまさにそれを体現するべき存在です。Scinence(科学的に正しい情報の発信や処置)をベースとしつつ、Arts(人間らしさやクリエイティブ)が求められる時代になっていくと思います。

これからは、パーソナルドクターの存在が不可欠になっていきます。そもそも、大きな病気にかかるまで本質的なかかりつけ医が存在しないのは日本くらいで、異常です。

情報やソリューションが目まぐるしいスピードで増えていく現代において、パターナリズム的なアドバイスではなく、自分の人生の質を高めてくれる中立的な相談役をもつことは不可欠になっていきます。日々の意思決定をパーソナルドクターとともに最適化することによって、後悔のない人生を歩むことができるようになると確信しています。

Wellnessのパーソナルドクター選抜においても、知識レベルの高さや臨床経験値と同じかそれ以上に、コミュニケーション力や共感・思いやり力を重視しています。人生のパートナーとなる医師を予防の段階で持てる人が一人でも増えることを祈っています。

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