人々の生活に刻み込まれた記憶、バンドとしてのPEDROが確実にそこに存在していた 【PEDROライブレポート@武道館 2021/2/13】
2021/2/13(土) 空は快晴
WACKが夢の舞台として追い続けた武道館
BiSHメンバー最年少 アユニ・Dが率いるバンド"PEDRO"がWACKとして初めて武道館に足を踏み入れた
ライブタイトル「生活と記憶」
大きな出来事があった日は勿論のこと、日々過ごす些細な時間もしっかりと覚えていたい
ただ間違いなく、PEDROを愛する全ての人にとって、永遠に忘れない記憶として脳に刻み込まれた一日であった
夢を追い続けた少女の立つ舞台「武道館」
当日のセットリストは以下の通り。
2021/2/13(土) PEDRO「生活と記憶」@武道館 セットリスト
01 自律神経出張中
02 猫背矯正中
03 来ないでワールドエンド
04 WORLD IS PAIN
05 愛してるベイベー
06 後ろ指さす奴に中指立てる
07 GALILEO
08 pistol in my hand
09 ボケナス青春
10 うた
MC
11 浪漫
12 へなちょこ
13 無問題
14 Dickins
MC
15 丁寧な暮らし
16 ゴミ屑ロンリネス
17 SKYFISH GIRL
18 EDGE OF NINETEEN
19 生活革命
20 空っぽ人間
21 感傷謳歌
MC
22 東京
~アンコール~
23 乾杯
MC
24 日常
25 NIGHT NIGHT
WACK所属のグループは、パフォーマンスで魅せるということを強く意識してか、ライブ演奏曲が非常に多い。
当日の武道館はセンターステージ仕様。
幕が降りると同時に、アユニ・Dが「武道館〜!!」と叫び、
1曲目「自律神経出張中」でスタートダッシュを決める。
「自律神経出張中」を皮切りに、怒涛の10曲連続演奏が始まるわけなのだが、スタートダッシュを決めた後もひたすらダッシュし続けるライブスタイルはいつにも増して鬼気迫る演奏であった。
3曲目「来ないでワールドエンド」から立て続けに4曲、2020年リリースの最新アルバム「浪漫」収録曲を歌い上げる。
本アルバムは、爽快な曲調のものが多く、PEDROとしての成長を感じさせるアルバムに仕上がっている。
バンドとして成長しましたと言わんばかりの演奏は、観客のボルテージを徐々に上げていく。
7曲目「GALILEO」は2018年リリース「zoozoosea」から、9曲目「ボケナス青春」は2019年リリース「THUMB SUCKER」から。
上記2つのアルバムは、PEDRO活動初期~中期のアルバムであり、ロックテイストが強い楽曲が多く、ハードロックまではいかないが、パンクロックのようでありつつも、ゴリゴリのサウンドで攻撃的な曲が多い。
演奏の幅の広がりを感じざるを得ないプレイは、最初のMCに入るまでに、会場のボルテージを最高潮に仕上げた。
ライブ後半以降も各時代のアルバムを散りばめて、観客を飽きさせないライブが続いていくが、取り立てて観客の心を熱くさせたのは、何と言っても「感傷謳歌」「東京」の2曲だろう。
歌詞の節々から、苦悩や成長を感じる。
北海道から身体一つで上京してきた少女が、身も心もボロボロになりながらひたすら行動して、夢を追い続けた結果、今武道館に立っている。
涙を流しざるを得ない。
こうして、観客の心に圧倒的な勇姿を見せつけ、PEDRO初・武道館ワンマンが幕を閉じた。
PEDROが初めてバンドになった瞬間
ここまでアユニ・Dに焦点を当てた内容となっているが、
武道館ライブを通じて、「やっとPEDROがバンドになったな」と強く感じた。
正直、今までは、"PEDRO"ではなく、
ボーカル/ベース:アユニ・D(BiSHメンバー)
ギター:田渕ひさ子(NUMBER GIRL, toddleギタリスト)
ドラム:毛利匠太(SCRAMBLES MUSIC COLLEGE1期生)
と、個々が各々の肩書きを持ちつつ、バンドをやっているような感覚があり、メンバーそれぞれが独立している演奏が多かった。
私個人としては、アユニ・D推しであり、PEDROファンでもあったが、
今ひとつ波に乗り切れない感じがずっと拭えなかった。
このままでは、アユニ・Dのソロプロジェクトという、1つのイベントとして過ぎ去ってしまうのではないか、という不安もあった。
武道館でのライブは、そんな不安を全て消し飛ばし、PEDROのバンドとしてのさらなる成長を確信させてくれた。
リズム隊のベース・ドラムが、安定した土台を作り、
田渕ひさ子の空気を切り裂くギターが乗り、アユニ・Dの特徴的な声が独創的な世界を作り上げる。
そこには、PEDROとしての音が鳴っており、孤立した音楽はなくなっていた。
日本の歴史に名を刻むバンドになるには
とは言っても、バンドとして更に大きくなるために、必要なことはまだまだある。
1つは「リズム隊のプレイスキル」
比較してしまうのは残酷なくらいだが、田渕ひさ子のプレイが圧倒的すぎる。
ほとんど全ての曲に、田渕ひさ子のソロがあり、
ギターソロがなかったら、曲の盛り上がりどころはどこ?となるような曲がまだ多いような気がする。
演奏歴を考えたら、当たり前かもしれないが、それでも同じバンドとしてプレイしているのだから、そんなことは言ってられない。
田渕ひさ子頼りの曲が多いのが現状だが、このとてつもなく大きな壁を超えた先のPEDROは、日本の歴史に名を刻むバンドになる可能性を秘めている。
話は少し逸れるが、7曲目「GALILEO」と8曲目「pistol in my hand」の繋ぎ部分のギター演奏と10曲目「うた」のギターソロは、見る機会があったらバンドを愛する全ての人に是非見ていただきたい。
NUMBER GIRLの頃を彷彿とさせる田渕ひさ子のプレイは圧巻だ。
その場で息をすれば、切られてしまうのではないかと思うほど、キレ味鋭いギター音に、どことなく優しさが漂っている。
矛盾しているようだが、これが田渕ひさ子の音であり、唯一無二のギタリストたる所以なのだ。
2つ目は「ハモリ」
PEDROの楽曲には、アユニ・Dを主旋律とし、田渕ひさ子と毛利匠太がハモリを入れる場面が何度かある。
正直なところ、ハモリがハマっている瞬間もあるが、ハマっていない瞬間の方が多い。
サビの盛り上がる部分で、ハモれていない時は、曲よりもミスの方に耳がいってしまう。
演奏をしながら歌っていること、音源と同じようには歌えないこと
ライブでのハモリは難易度が高いのは承知の上だが、ボーカルの当日の状態によって、ハモリを入れる側が合わせにいくことで、バンドとしての一体感がより増すように思える。
PEDRO武道館は最高のライブだった
色々述べてきたが、とにかくPEDROの武道館ライブは最高だった。
バンドとしてピースがハマった瞬間、武道館での演奏、今後への期待が確信に変わった瞬間
今のPEDROの一番を魅せてくれた。
1つのバンドのファンでいて応援している醍醐味を味わしてくれた。
これだからバンドのファンはやめられない。
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