空中の同病仲間
2022年05月28日 空中の同病仲間。
十数年前、病気になったばかりの時は、SNSなんてなくて、
病気の情報は、ネットや誰かのブログだけだった。
SNSが普及してから、色々やってみてきたものの、
本音をさらせるわけでもなく、時々ぜんぶ、
やめたくなる一方で、闘病アカウントは、心の支え。
現実で同じ病気の人に会ったこともないなか、
全国各地の老若男女の同病者と、出会えるなんて、
ほんとすごい。
匿名だから、危険な世界で、
匿名だから、話せることもあり、
顔と名前を隠しても、なんとなく、
なぜ同じ病気になったのか、
分かる気がする。共通項がある。
誰かの発信する情報や経験が、
誰かの闘病の役に立ったり、
再発の予防になったりしている。
誰も、正確を知らない。
でも、健やかな日が、
1日でも長く続くよう、互いに願いながら過ごす。
ただ、それだけで、ひとりじゃないと思える。
私の病に限らず、誰もが、自分の病や問題を抱えてる。
病名がつかないだけで、自分の困った面を治せず、
苦しんでいる人もいる。
つらさは、
その人にしか分からない、その人だけのもの。
誰も代わりに背負うことは、
出来ないのだから、
せめて、同病あい憐れむことは、
耐え抜くための、よい知恵、よい選択肢。
『あい憐れむ』なんて、
情けない人間を束ねる言葉の印象だけど、
SNSがこれを心を強くする現実的なものに、
してくれたような気がする。
闘病しかり、趣味しかり、
感情共有し、支え合えば、いい。
そして、みんな健やかな日々に、
だんだん、闘病アカウントにログインしなくなって、
ついには、
アカウントのことなんか思い出さなくなって欲しい。
さみしくなんてない。
誰かが、そうやって、元気で離れていくこと、
そして戻ってこないこと、
そのこと自体が、みんなの希望。