11月11日 鏡の日
2021年11月22日
12月21日 白雪姫の誕生日
大人のバレエクラスは、
10人前後。
年齢層はとても幅広い。
ある日、
全員で鏡を正面に立ち、
姿勢をチェックしていたら、
ある70代くらいの女性が、
「あら~ショック。
私、脚がO脚になってる!
年取るとガニ股になるって聞いたけど、
まさ自分が…
若い頃は、綺麗な脚って言われてたのに…」
その場に崩れ落ちそうなほど、
ショックを受けていた。
グレーのジャージの上からは、
ハッキリは分からなかったけど、
うーん、たしかに足と足の隙間が、
丸い…かも…?
先生は、
「気づけてよかったですよ。
鏡は残酷ですよね…でも大丈夫。
でも、自分を知ったら、
よくしていきましょう」
励ましながら、
タオルを太腿に挟んでトレーニングをする方法など教え、
彼女は「がんばります…」と、
よろよろと帰っていった。
こちらも色々とポンコツなので、
かける言葉も見つからず、
心の中で彼女の後ろ姿にエールを送った。
そして、
次のレッスンがやってきた。
なんと彼女は、
足の形がクッキリ分かる、
黒いぴったりタイツを履いて来た。
手にはタオルを握りしめ。
自己認識と現実のズレは、
いつも不意打ちで知らされる。
見えてしまった事実を、
見て見ぬふりしたくなる。
私だったら、
もっとダボダボのジャージ履いてくるかも…
隠さない勇気。
彼女に拍手を送りたかった。
数ヶ月か、数年後か、
膝をまっすぐに伸ばして歩く、
彼女の姿が目に浮かぶ。
明日、世界が終わるとしても、
林檎を植える人がいるように、
人生の終わりが近づこうとも、
伸ばせる膝は、伸ばして歩きたい。
鏡よ、鏡と、指の隙間から、
恐る、恐る、自分の姿を覗きながら。
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