12月3日 カレンダーの日
小人のカレンダー
子どものころ、
年末になると父が会社から持ち帰る、
来年のカレンダーが待ち遠しかった。
それは小人の世界のカレンダー。
小人たちの四季折々の暮らしが12枚。
生きたジオラマの世界の1枚を、
1か月毎日眺め、12か月12種類を毎年。
小人たちと、
春には、桜を、
夏には、海へ、
秋には、落ち葉と、
冬には、雪に。
カレンダーの四角い窓の世界は、
もうひとつの暮らしの景色だった。
でも、ある年から、
カレンダーが、小人のカレンダーではなく、
有名なキュラクターデザインのカレンダーに
代わってしまい、
ひどくショックを受けた。
小人の世界を覗く四角い窓が、
奪われたような気持ちになった。
大人になり、
思い出すこともなくなっていたが、
ふと、気になって調べてみた。
小人
カレンダー
で、検索してみた。
あった。
作家の方の活動開始は、私と1歳違いだった。
きっと活動を始めて間もないころの、
カレンダーだったのだろう。
そして、96年に
73歳でお亡くなりになっていた。
私が大学生のころだ。
我が家の月日とともに歩んだ、
小人の景色は、
自分が見た景色のように目に浮かび、
今もまだどこかに存在しているような気がする。
いつか、もっともっと時が経ち、
夢も現実もぜんぶ同じになったころ、
私はあそこに住んでいたんだよと、
誰かに話してしまいそうなほどに。