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独立するみなさんへ(お金の話)

「自分っていくらなんだろう?」

サラリーマンをやめて独立した後、最初に困ったのは、自分の「値付け」でした。サラリーマンの給料ともアルバイトの時給とも違うだろうし、いったいどれくらい請求すればよいのか? リアルにこの世の中を生きていかなければなりませんから、謙虚な姿勢ばかりではやっていられません。

いろいろな考え方がありますが、簡単なのは時給で考えるやりかたです。請け負った仕事はだいたいこれくらいの時間がかかりそうだから、これくらいは対価をもらいたい、という考え方ですね。

ここで気をつけなければいけないのは、独立後の時給は、サラリーマンの給料やアルバイトの時給とは根本的に違うということです。仕事に使うパソコンやソフトウェア、事務所の家賃や光熱費、コピー用紙やお客さんに出すコーヒーの豆まで、支払うのはすべて自分です。サラリーマンの給料の手取りは、年金や保険が引かれた額ですが、こうしたものも自分で払わないといけません。

やっかいなのは仕事を頼んでくるクライアント側がこうしたことを理解していない場合。クライアントの担当者が自分の手取りから時給を逆算したと思われる金額を提示してきたことがあったのですが、丁寧に世の中の仕組みを説明して、それでは足りないということを納得していただきました。(笑)

趣味プロジェクト? 電動バイク zecOO の初期スケッチ © znug design

本当はこうするべきなんじゃないかと思うやり方は、自分が提供する価値に基づいて対価をもらう考え方です。5分で思いついたすばらしいアイデアの値段を時給で考えるのはナンセンスですよね。5分で思いつくためにこれまでの人生を捧げてきました、というのは詭弁ではないと思います。

この方法で対価を決めるためには、いろいろなことを考える必要があります。プロジェクト全体でどれくらいの利益を生むのか、コスト構造や販売個数など、はっきりと教えてもらえない場合でも自分で推測します。その全体の利益に対して、自分の貢献度はどれくらいになりそうなのか。最初に決めるのが難しければ、イニシャルでもらう分を少なくして、ロイヤリティ(売り上げに応じた成功報酬)を厚めにもらうというやり方もあります。

ベンチャー企業では、プロジェクト初期は資金が不足していることもありますから、株を持ったり、ストックオプションをもらったりすることもあります。ロイヤリティや株で対価をもらうやり方は、「同じ船に乗り込んで漁に出かけ、儲けは働きに応じて分配」というような考えに近いかもしれません。イニシャルでもらう分が少なくても、「成功したらたくさんもらえる」というのもモチベーションが上がりますよね。

「デザイナーあるある」の笑い話で、製品がよく売れた場合は「モノのできがよかった」と言われ、売れなかった場合は「デザインが悪かった」と言われる、というのがあるのですが、売れたときこそ貢献度をしっかりと主張したいですね。

一方で、独立してしまえば、各々のプロジェクトに対する価値のおきかたも本人の自由なので、1円ももらえなくてもやりたい仕事というのもあるかもしれません。自分の宣伝になるとか、メディアへの露出が期待できるとか、お金以外のリターンがある場合もあります。さらには、何もリターンがなくても、ただとにかくやりたい、自分の理想を実現したい、という仕事もあるかもしれません。(税理士さんや会計士さんはそれを「趣味」と呼ぶかもしれません。笑)

ゴチャゴチャ書いてしまってスミマセン。もし上から目線に感じた方がいらっしゃったらごめんなさい。自分自身もよくわからず格闘してきたことなので、少しでもお役に立てればと考えて書きました。

私のホームページに独立後の主な仕事がのせてあります。私にとってどの仕事がどういう仕事なのか、ぜひ推測してみてください!

http://www.znug.com/

次回は契約書の話をしたいと思います。

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