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「自分でも何言ってんのかわからん」のそれっぽい核心
「それっぽい核心」シリーズは、毎回1つの課題を設定し、その根本っぽいことを探ります。
第2回の課題は、
「自分でも何言ってんのかわからん」
です。
■今回のそれっぽい核心
「その言葉の意味は何か?その文章の主語は誰か?その意見は誰の意見か?をはっきりさせる」
確かに、それっぽい核心。
すごい人の前でプレゼンとかして、詰められてる自分が目に浮かぶ。
これ、フェルディナン・ド・ソシュールという方が考えた「言葉」に関する考え方が良きなので紹介します。
▼ソシュールはこんなこと言ってる①
・「何かモノ」があって、それに「名前」をつけたんじゃなくて、「名前」をつけることで、世の中を切り取ってる
→例えば...
・「羊」は英語で「sheep」、「羊肉」は英語で「mutton」
・「羊」はフランス語で「mouton」だが「羊肉」を指す言葉はない
→もしも...
何かの概念が存在して、それに言葉を当てはめているならば、各国語で対応する言葉があるはず。しかし現に存在しない
→つまり...
何かの概念はあらかじめ定められていないし、言葉の意味は各言語に応じて、その指し示す幅が異なる
「僕らが話す言葉って、誰かが世界を切り取って生み出したもの。」
▼ソシュールはこんなこと言ってる②
・僕らがサラサラと語ってる考えは、どこかで誰かが語ってた言い回し
・自分からひねり出した考えは、言葉にしようとしても中々まとまらないし、それを構成する言葉やフレーズは誰かの借り物
↓
「僕らの意見」は、「他人の意見」のツギハギで、できている。
■僕の生活と「それっぽい核心」
僕らが「自分の意見」を語るには、「他人が作った言葉」と、「それで構成された他人の意見」を、パッチワークのように繋ぎ合わせるわけやけん、そりゃグチャグチャなりがちな訳ばい。
・この前、仕事で難しい局面があって、僕なりの解決策を話した時、自分でも何言ってるのかわからんくなった。
・今思うと、文章の主語が二転三転してたなと反省。
・仕事の課題って、具体的なシチュエーション元に、ぐちゃぐちゃ考えちゃうから、下手に抽象化しがち。
・月並みではあるけど、抽象と具体の行き来をスムーズにできる思考スピードが欲しい
・そもそも悩む前に「誰かが答え出してる説」を思い出そ
■考え続けたい問い
「どうすれば、他人の意見を抽象化し、自分の経験にすばやく当て込められる?」
▼参考になりそうなオンライン授業
■引用書籍
内田樹『寝ながら学べる構造主義』、文春新書、2002年
フェルディナン・ド・ソシュール『一般言語学講義』、1916年