実写映画版『からかい上手の高木さん』は神作品!
からかい上手の高木さんの実写映画化
漫画『からかい上手の高木さん』の実写映画化されることが発表された。
それに対する作品ファンの反応は様々であった。楽しみにする声もあれば、実写化されること自体や原作から設定が変わること、設定そのものを心配する声もある。
そういった声があること自体はとても健全である。特に、漫画やアニメからの実写化に失敗した作品も少なくないことから、実写化に対して心配する気持ちはよく分かる。
実際、自分も記事を見た時は「実写化、上手くいくかな」と心配したものだ。
だが、あえて言おう。
実写映画版『からかい上手の高木さん』は神作品になる!
なぜ、神作品とまで言いきるのか。その理由を三つ述べていく。
その1:原作の世界観や人物、関係性が現実的である
冒頭で、漫画やアニメからの実写化に失敗した作品も少なくないと述べた。
では、なぜ漫画やアニメからの実写化に失敗することもあるのか。
その理由は、原作の世界観や人物、その関係性を現実で完璧に再現するのが難しいからだ。
漫画やアニメというのは、作者の素晴らしい妄想や構想が具現化したものである。つまり、現実とは違う世界が作られている。
その世界を実写化しようとなると、現実にある物理法則やコスト、登場人物に合う役者などの制約を受けることになる。
時には、その制約によってオリジナルストーリーやオリジナルキャラなどの変更を余儀なくされる場合もある。
その結果、原作の世界観や人物、その関係性を上手く実写化できずに失敗することもあるのだ。
その点において、『からかい上手の高木さん』はどうだろうか。
世界観として、中学校とその地域を舞台に、同級生同士である「西片」と「高木さん」のやりとりが繰り広げられるものである。
そして、高木さんが西片をからかい、西片は高木さんに仕返しをしようとするがごとくごとく失敗するという関係性。
これは現実でもありそうと思えるのではないか。さらに言えば、似た関係性を持つ中学生男女が実際に存在する可能性もある。
つまり、『からかい上手の高木さん』の世界観や人物、その関係性は極めて現実的である。
補足すると、原作でも明確な時間軸はなく、日常の中で西片と高木さんのやりとりを一話ずつ収められているだけにすぎない。つまり、「高木さんが西片をからかう」という制約があるのみで、時間軸やストーリーといった制約も少ない。
このように実写化に対する制約が少ないので、原作の世界観や人物、その関係性を上手く実写化できずに失敗する可能性は低いと考えられる。
その2:原作をリスペクトした設定
実写映画化『からかい上手の高木さん』の舞台として、以下のように紹介されている。
映画の舞台は、中学生時代から10年後。教育実習生として母校へ帰ってきた高木さん(永野)と、母校で体育教師となった西片(高橋)をオリジナルストーリーで描く。
これに対して、「同じ年なのに、高木さんはまだ教育実習生で西片はもう体育教師?」「高木さん留年したってこと?」という心配の声が見られた。
しかし、僕は「原作をリスペクトしている」と感じたのだ。
なぜそう感じたのか。その理由は、高木さんと西片が選びうる進路を考えると適切だからである。
実は、原作の中でこういう描写がある。
※西片がテスト勉強中で高木さんは本を読んでいる場面
高木さん「あ、そこ間違ってるよ。」
西片「え!」
高木さん「問6の3」
※西片と高木さんでテストの点数当てゲームをしている場面
高木さん「ざーんねん 92点でした。」
※卒業式を終えて片付けをしている場面
西片(そっか…普通は大体みんな同じ高校いくけど、高木さん頭いいからもしかして…)
これらの描写から高木さんは優秀であることが分かる。さらに、「高木さんは学力的に高い高校に行き、大学に進学した」なんていう"妄想"も可能である。
それならば、中学生時代から10年後は大学4年生あたりで、教育実習生として母校に帰ってきたという設定に矛盾はないのだ。
西片は体育教師になっているという設定も素晴らしい。
西片(からかわれた回数×10回の腕立てを毎日やってきたんだ… 男子でもオレに勝てる奴はほとんどいないだろう…)
なかなかの自信である。確かに毎日腕立てをやっているうちに、体育教師という進路を考え始めた経緯があるという"妄想"も可能である。
もっとも、西片の体育教師という設定は、後述する『からかい上手の(元)高木さん』にもリスペクトしているだろうと思われる。
さらにいえば、西片の学力から考えると専門学校や短期大学という選択肢も現実的である。
※西片と高木さんでテストの点数当てゲームをしている場面
西片「59点!!! おしかったけど残念だね!」
専門学校や短期大学に進学し、中学校教諭二種免許状【保健体育】を取得したと考えれば、高木さんより先に体育教師になったという設定にも矛盾はないのだ。
以上から実写映画化『からかい上手の高木さん』は、原作をリスペクトした設定になっていると言えるのではないだろうか。
その3:原作と派生作品の間を埋める作品になる
『からかい上手の高木さん』には、公開予定も含めて5つの派生作品が存在する。
からかい上手の高木さん(アニメ)
からかい上手の(元)高木さん(スピンオフ漫画)
劇場版 からかい上手の高木さん(劇場アニメ)
からかい上手の高木さん(連続ドラマ)※公開予定
からかい上手の高木さん(実写映画)※公開予定
そのうち、時間軸ごとに作品を整理してみる。
中学1-2年生
からかい上手の高木さん(原作)
からかい上手の高木さん(アニメ)
からかい上手の高木さん(連続ドラマ)※公開予定
中学3年生
からかい上手の高木さん(劇場アニメ)
高校生
なし
大学生(高木さん視点)
からかい上手の高木さん(実写映画)※公開予定
社会人
からかい上手の(元)高木さん(スピンオフ漫画)
こう見てみると、既に公開されている三作品の時間軸は中学生時代と社会人時代である。つまり、中学生時代と社会人時代の間に時間的空白があるのだ。
中学生時代の高木さんと西片を知りたいなら、からかい上手の高木さん(原作)、からかい上手の高木さん(アニメ)を履修すればよい。
社会人時代、つまり西片と高木さんが結婚した後の日常を知りたいなら、からかい上手の(元)高木さん(スピンオフ漫画)を履修すればよい。
補足すると、からかい上手の(元)高木さん(スピンオフ漫画)で西片は体育教師になっている。実写映画において、西片が体育教師という設定はスピンオフ漫画にもリスペクトした結果と考えることもできる。
しかし、中学卒業から結婚するまでのお話は存在しないのだ。時間的空白があるのだ。その時間的空白を埋める作品こそ、からかい上手の高木さん(実写映画)というわけなのだ。
2人はそれぞれ別の高校に行ったという明確な描写や設定はないもの、前述した設定から考えると、別の高校に行ったと考えるのが妥当だと僕は考える。
だとすれば、からかい上手の高木さん(実写映画)は、母校で再会した2人が付き合うまでのストーリーを描くものになるのではないだろうか。
そう考えると、からかい上手の高木さん(実写映画)は2人の関係性の変化を語る上で重要な作品になりうるであろう。
まとめ
現実的な世界観、原作をリスペクトした設定、原作と派生作品の間にある時間的空白を埋める作品になりうる、といった理由から、僕は実写映画版『からかい上手の高木さん』は神作品になると考えました。
もちろん、この考察は全て間違っている可能性もあります。その上で、こういう視点もあるということを理解していただけたら嬉しい限りです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
余談
『からかい上手の高木さん』を知ったのは、2015年でした。つまり、中学1年生から『からかい上手の高木さん』と共に育ったと言っても過言ではあります。
『からかい上手の高木さん』をご存知でない方は下のURLからチェックしてみてください。