「社会的責任投資」は、収益性が低い?
先日、iDecoの運用団体から、
三井住友トラスト・アセットマネジメントの運用する「DCグッドカンパニー(社会的責任投資)」が、iDecoの投資先として除外される旨の通知が送られてきました
その除外理由には、こんな説明がありました。
この文言で、とくに興味を持ったのが
「パフォーマンスが基準を下回ったため」という点。
実際に、パフォーマンスがどうだったのか、見てみます。
iDecoの運用商品情報に掲載されている、このファンドの騰落率を見ると、こんな感じでした。(2022年3月時点)
3ヶ月:▲7.22%
6ヶ月:▲5.19%
1年:▲3.11%
3年:6.38%
5年:5.03%
比較として、
TOPIXに連動する、iDeco向けファンドの「MHAM TOPIXオープン」(アセットマネジメントOne)の同期間の騰落率を見てみると、
3ヶ月:▲2.11%
6ヶ月:▲3.11%
1年:2.63%
3年:7.26%
5年:5.86%
確かに、TOPIXを下回るパフォーマンス。
とくに、この1年内の騰落率に、大きな差がでています。
「DCグッドカンパニー(社会的責任投資)」の運用報告書によれば、ベンチマークを下回った理由として、
銘柄の要因以外に、ファンドの信託報酬が、
DCグッドカンパニー(社会的責任投資):1.562%
MHAM TOPIXオープン:0.66%
と違うので、その累積した影響もあるかもしれません。
目論見書によれば、この「DCグッドカンパニー(社会的責任投資)」の特徴として、
わが国の株式のうち、企業の社会的責任(CSR)に積極的に取り組んでいる企業に投資する
中長期的にベンチマークであるTOPIX(東証株価指数)を上回る投資成果を目指す
企業の社会的責任(CSR)を積極的に果たし、持続的に発展する企業を、4つの評価軸により、投資銘柄を厳選する
といった点を掲げられていて、通常の企業分析以外に、社会的責任に関するリサーチをウリにしていることがわかります。CSR評価のための調査・分析として、日本総合研究所に協力してもらっています。
これからの投資として、「ESG投資」などのキーワードが出てきて、このファンドのような視点での企業選別が広がってきそうな機運があります。
しかし、「社会的責任」という点で労力をかけて企業選別しても、その結果が、市場平均に劣るパフォーマンスですと、インデックス型のファンドを保有した方がよく、その広がりにブレーキがかかってくる可能性が多いにあります。
「社会的責任のある企業 → 投資パフォーマンスがよい」ということが前提でのファンド設計だから、こういう結果になるのだと思います。
普通の野菜よりも、価格の高いオーガニック野菜を、あえて選ぶように、「投資パフォーマンスは少し劣るけど、その分価値のある投資です」というような明確性が必要なのではないしょうか。