
喜びの内側
今日の朝の散歩は、冷たい雨が降っていた。
寒い朝に、近所の会社の営業と思われる男性三人が、ケラケラ笑いながら楽しそうに話していた。
この何気ない風景に、ある記憶が蘇ってきた。

それは、今から16年前になる。
私は、ルート営業の仕事をしていた。
商品単価は、とても小さいものから扱っていたが、利用新規開拓のノルマがある仕事だった。
今でも、質感的には
「あたたか」 「柔らかい」
とても、心が満たされている記憶として甦る。
ふと...お客様とのやりとりを思い返した。
ー想像して欲しいー
急に、インターホンがなり、アポイントなしの飛び込み営業が訪問した時を。
私ならは、「勧誘される」「断りきれない」「めんどくさい」「時間が勿体ない」「必要ない」みたいな言葉が浮かぶ。
それを想定して、インターホンを押す時は、緊張で、鼓動が早まる。
最初は、怪訝な顔をされる。
それもそうだ。
私でも、そうしているだろう。
おっ・なんか、記憶を辿っていくと、ちょっとずつ見えてくるものがあった。
あれ??
営業って、エンパシーなんじゃないかな…って。

これは、私の体験を記しているので、営業のプロの方が、なんだこれ?と分かったようなことを...と想われるもしれないが、そこは、優しい気持ちで読んで欲しい。
まず、お客様の表情や、仕草、言葉の端々から、どんな「感情」があるかを探ろうとする。
そこから、お客様の「価値観」「ニーズ」を紐解いていく。
こちら側は、利用するメリットを伝えたい気持ちを保留し、まずは、お客様の声に、耳を傾ける。
その上で、価値観、ニーズにあった言葉で、相手に伝えてみる。
あ、「共感」を向けていたんだなぁと、ちょっぴり心が弾むのを感じた。

私は、この「営業」という仕事が、とっても好きだった。
業績や報酬も、とても嬉しいものではあったが、それ以上に、心が満たされている温かさを感じていた事を思い返していた。
何が嬉しかったんだろう。
悔しかったり、苛立つ日もあったはずなのに。
「喜び」の内側を探る。
お客様の、笑顔が嬉しかった。
最初は怪訝な顔をされていた方が、ご自身で納得し、選択してくださったことに、大きな喜びを感じていた。
そうして、契約してくださった方は、長いお付き合いをして下さる。
そして、退職時には、涙を流すほどの関係性を、築けていたこと。
ー私のなかにある価値観ー
「繋がり」の価値観
これは、とても大きな感情の振り幅がある。
繋がりを感じられた時は、命の底から温かい気持ちが生まれる。
逆に、それが叶わない時には、存在価値を否定したくなるような、孤独感が生まれたりする。
「理解」
「信頼」の価値観
私の話を、理解しようとしてくれたこと。耳を傾けてくれたことが、とても嬉しと感じていた。
そして、お互いに理解しようとする事で生まれた関係性に、「信頼」がある事が喜びに繋がっていた。
逆に、門前払いをされたり、心無い言葉を投げられたこともあった。
その時は、「どうせ私は受け入れて貰えない」と酷く悲しい思いをしたりもした。
お散歩道で、出会った営業マンの姿から、自分の記憶が、蘇ってきて、やっぱり自分の価値観は、そこにあって、それを、叶えようと、生きてきたんだなぁと、愛おしさを感じた。
人の感情は
「どうでもいいこと」
には動かない。
感情が湧き起こる内側には、自分が大切にしている「価値観」がある。
共感者講座より

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こたま