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『NOPEノープ』考察ネタバレ“見て支配”するのは映画を見る私たち

映画『NOPEノープ』は、『ゲット・アウト』や『Us/アス』を生み出したジョーダン・ピール監督による傑作SFホラー。改めて視聴してみると、我々観客に対してのアンチテーゼになっている点が面白い
※以下、ゴリゴリネタバレありなので注意。

見ること=支配への反発

(→Nopeのあらすじラスト結末までネタバレ解説はコチラ←)

映画『NOPE』は“見る”という行為から権力の本質を暴き出す。支配は“見る”という行為から始まるのだ。
主人公のOJたちが、中心部がカメラのようなUFOと戦うプロットは、支配する側が「一方的に相手を見る」不均衡なパワーバランス、それに対しての反発がテーマにしているのだろう。
中盤までUFOの姿は見えない。逆にUFOからは地上の獲物が見えている。UFOは支配者のメタファーなのだ。
相手からは見られずに相手を観察するのが支配者なのだという卓見が読み取れる。
哲学者ジェレミー・ベンサムが考案した円形の刑務所・パノプティコン(支配する側の看守は、円の中心から受刑者全員を一方的に監視できる)が想起される。
カメラで撮影される側=支配される側となる。チンパンジーのゴーディだけでなく、映画の登場人物も被支配者。この場合は、支配者はカメラのこちら側にいる我々視聴者となる。
見る、見られるに差別の問題なども取り入れつつ、俯瞰するとジョーダン・ピール監督の「観客をやっつけたい願望」も見て取れる。観客に映画を支配させたくない意味もあるのだろう。

考察:聖書やラストのOJの死亡説

冒頭には旧約聖書のナホム書の引用がある。ラストシーンではOJが本当は死んでいる?という読みもできる。チンパンジーや靴、最悪の奇跡、ジュープの人間性など、解釈が必要な部分は多岐にわたる。次のページではこれらについて詳しく考察してみる↓



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