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『ドライブ・マイ・カー』考察ネタバレ,韓国ラストの意味ネタバレ,棒読み演技のパラドックス

映画『ドライブ・マイ・カー』は近年の邦画でもの凄い衝撃を受けた作品。抽象的な表現(ぜんぶ説明しちゃわない)が卓抜だった。韓国ラストの意味や棒読みがストーリーに与える影響を考察していく

ネタバレ考察:なぜラストが韓国!?

結論からいうと、劇中劇の『ワーニャ伯父さん』の逆のパターンを表現したかったのだと考える。
『ワーニャ伯父さん』の結末は失意の中でその土地にとどまる選択だが、ドライバーのみさき(三浦透子)は新天地へ行くことができたと希望を表現していたのだろう(韓国が重要というより、傷ついた日本以外の国というのが大事)。
みさきがサーブ900(赤い車)に乗っているのは、家福(西島秀俊)が死んだ妻の象徴であるサーブ900から解き放たれた意味があると感じた。
韓国人夫婦(ユンスとユナ)の犬が車に乗っているので、みさきは彼らとも仲を深めたことがうかがえる。
家福が映っていないことについても様々な解釈ができるが、みさきが家福に依存せずとも人生に希望をみいだせたことを表現したかったのだと思う。

(→韓国ラストや高槻(岡田将生)の狂気についてさらに詳しい解説はコチラ←)

棒読み演技のパラドックス

家福は役者に「あなたは登場人物の気持ちを考える必要はない」と指導。
これは『ドライブ・マイ・カー』自体の棒読み演技をメタ的に肯定した発言とも取れる。映画自体が棒読み演技で観客をのめり込ませることに成功しているにもかかわらず、最後にそれすら自問自答するところに構造的な面白さがあると感じた。

棒読み演技の具体的なメリットや、劇中劇の演技指導のパラドックスが物語に与える影響については次のページで解説


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