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「満月の夜の羽化」


満月の深夜、
歩道をゆっくり横断しようとする
腰の曲がったお婆ちゃん姿の昆虫を
発見!

よーく見ると、蝉の幼虫!

地面から這い出たばかりだろうか?

こんなところをのこのこ歩いてたら
潰されてしまう。

案の定、数メートル先には
無惨に潰された幼虫がいた。

迷わず、捕まえてバッグに入れて
連れて帰った。

蝉の羽化は子どもの頃から、
一度も見たことがなかった。

観察もしたかった。

蝉の羽化を調べると、
夕方から明け方の暗い時間に
羽化するようだ。

羽化するときは、
好みの木や葉っぱがあって、
紫陽花や桜の木も好きらしい。

1階の紫陽花と桜の木の枝を
入れ物に一緒に入れてあげた。

そして、暗いベランダに置いて観察。

遅い夕食後、様子をみたら、
もう羽化が始まっていた。

もう体のほとんどが出ていた。

たぶん、連れて帰って、
1時間後には羽化が始まったのだろう。

地面から這い出て、
直ぐに場所を決めて、羽化するのは
時間の問題だったんだね。

以前、蝉の抜け殻が
私の自転車のカゴ、
住宅の入り口のコンクリートの壁に
あったことがある。

周りには木もいっぱいあるのに、
わざわざ、なぜそこを選んだ⁉︎

何しろ、6年振りの初めての地上だ。

右も左も分からず、
急いでたんだろうね。

羽化直後は、
成虫とはまるで違う乳白色。

こうやって、
夜の間に羽化してたんだね。

それから2時間かけて、
殻から出てジッとしていた。

羽は折りたたまれていた。

羽が広がって来ると
体の色は薄っすら緑色になった。

そして朝には、
成虫のアブラゼミの色になっていた。

大きな桜の木に止らせてあげようと、外にそっと運んだ。

木に移す時に驚いたのか、
桜の木には止らず、
そのまま飛んで行ってしまった。

別れも言わないまま…。

周りは木々が多いから心配はいらない。

鳴き声がなかったから、
メスの蝉に違いない。

これからの2週間、無事でいて欲しい。

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