決定力を高める4つのステップ【WRAPプロセス】
人は様々なバイアスに支配されています。
例えば「思慮深く、本が好きで、物静かな人」が「農家の人」である確率と「司書」である確率はどちらの方が高いでしょうか?
実際にどちらか……という実験はないと思いますが、おそらく「農家の人」である確率のが高いでしょう。
あれ、司書じゃないの? と思った方。まさにバイアスに引っかかっています。
この問題、つまるところ何を考えればいいかというと、「条件にあてはまる司書と農家の人はどちらが多いか」ということになります。
よく考えてみると、司書より農家の人の方が10倍以上も多くいるでしょうから、いくら司書の方が条件のイメージに合うとはいえ、条件に当てはまる農家の人の方が数は多いでしょう。
このように、ぱっと判断したイメージが最後まで離れなかったりして、正当な判断を下せないことはよくあることです。
今回はそんなバイアスから逃れ、決定力を高めるための4ステップ「WRAPプロセス」をご紹介いたします。
選択肢を広げる(Widen Your Options)
何かを決定しようと思ったとき、「視野の狭窄」が起こります。
これは「ほかに選択肢はないのではないか……」と視野が狭くなってしまうバイアスの事です。
少ない選択肢から選ぶ方が決定はしやすいですが、よりベターな決定をするのであれば、選択肢を広げることは大切です。
選択肢を広げるためには、例えばいろいろな経験をするとか、色々な情報を手に入れるとか、とにかく狭い世界で考えないようにすることが大事でしょう。
また、選択肢をみつけるために「アイデア出しのテクニック」を使ってみるのも良いと思います。
「アイデアは「降ってくる」ものではなく、「降らせる」もの。アイデアを生み出す5つのステップ」
仮説の現実性を確かめる(Reality-Test Your Assumptions)
「これがいいのではないか」とひとたび考えると、人は「確証バイアス」というものにかかります。
確証バイアスとは「都合の良い情報ばかりを集めてしまうこと」です。
自分の決断を裏付ける証拠ばかりを集めて、批判は全く考慮しない……ということは案外やってしまうものですが、それでは正しい決断はできません。
ですので、決定を下す前に、その仮説が現実的なものなのか、今一度検証する必要があります。
そのために、全く反対の決定をした場合のことを考えてみるとか、信頼のおける人「批判者」に相談してみるとか、うまくいかないと考える立場で一回考えてみることが良いでしょう。
決断の前に距離を置く(Attain Distance Before Deciding)
人は「一時的な感情」で大きく選択を変えてしまいます。
みなさんも、なんであのときあんな決断をしたのか……と後悔したことはありませんか?
決定をしたそのときは、気持ちが大きく高ぶり、さきほど紹介したような確証バイアスにも引っかかりやすい状態になっています。
また何より、冷静さを欠いていれば判断力が下がります。
そういった事態を避けるためにも、大事な決断であればあるほど、一旦距離を置くことが大事です。
時間的な距離も大切ですが、心理的な距離をおくための簡単な方法をこちらでご紹介しているので、もしよければ。
謝りに備える(Prepare To Be Wrong)
決定をしたらあとは結果を待つのみ。
しかし、必死に考えたからこそ「自信過剰」に陥る可能性も高まります。
必死に考えるような決断であるということは、もちろん失敗の可能性もあったから迷ったということ。
あまり考えたくはありませんが、いつでも最悪の事態を想定しておくことは、ある意味成功の秘訣でもあります。
以上の4ステップを重ねれば、バイアスを避け、正しい決定ができる可能性は高まります。
小さなものから大きなものまで、人生は決定の連続ですから、つまらないバイアスに引っかかって後悔しないように、WRAPプロセスを意識していきましょう。
参考文献:決定力! ――正しく選択するための4つのステップ(チップ ハース&ダン ハース)
ps
決定に迷って行動できなければ、それが一番の後悔のもとになります。
時には自分の行動に迷うこともありますが、そんなときは迷う時間を決めて、それまではとにかく行動するようにしています。