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書評 204 「人間はどこまで耐えられるのか」

面白おかしい科学エッセイの様なタイトルだが、限界環境で人間の身体はどの様になるのかを生理学者が解説した本。一般向けを著者も意識していて学術用語はほとんど出てこないが、単なる身体の反応を紹介するだけでなく、なぜそうなるのかまでが明瞭に書かれている。

高度、水深、高温、低温、宇宙空間、強酸・アルカリ性などの極端な環境と場合分けをして、人類が実際に成し遂げた記録と共に、なぜ過酷な挑戦なのかを解説。また、一般の読者も経験し得ること、例えば高山病や潜水病、熱暑下や吹雪の中で生命を危険に晒さないための留意点も教えてくれる。危険な事象がなぜ起こるのかの説明がセットになっているのが良い。

一編は少し目線が変わっていて、人間はどこまで早く走れるかがテーマ。そもそも筋力とか心肺能力とは何かの解説もわかりやすい。10秒くらいの活動でエネルギーがどれほど失われるか。そんな話も面白い。

人間に改めて興味が湧く一冊。


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