書評 190 「自分の仕事をつくる」
働き方研究家の肩書きを示す著者。建築・デザインの背景を持って働き方を調べ、考え、書くことを仕事にしたと言う。
本書はそんな著者によるインタビュー集。各々のインタビューに著者の考察が加えられた構成。インタビュー先はデザイン系の個人事務所オーナーさんたちの他、分野を特化してこだわりの製品を作るメーカーさん2社。この手の本でよく紹介される人たちもいる。
1990年代のインタビューなので、少々古い話ではあるものの、中身はいまでも面白い。独自の価値観やこだわり、食うための仕事とただやりたいからやる仕事の使い分け。
大量生産品を作って売る仕事を批判し、それとの対比で展開していくのだが、あとがきで「批判されている仕事に携わらざるを得ない人々を卑下するのはやめてほしい」との読者意見への回答も載せている。深く共感している印象は無いが、そこにも視線は向けていると答えている。
働き方啓蒙書の一つとして重版を重ねた一冊。