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書評 189 「電力崩壊」

2022年12月の刊行。電気節約が叫ばれ、急速に電気代が上がった時期だ。何でこんなことが起こっているのか。どうしてこんなことになったのか。それを要因別に分け、かつ網羅的に解説している。

著者は電力会社勤務後に環境問題やエネルギー政策をテーマに活動する研究者とのこと。一言で言えば行政の無策批判なのだが、強者叩きを面白がる人を狙っているのでは無い。

電力の特性を素人にもわかる様に解説し、本来望ましい姿といまの日本の実態との差を示す。そして、その差が生まれた背景を時間軸に沿って紐解いてくれる。なので、非常にわかりやすい。もう取り返しがつかない事も残念ながらいくつか示されている。それも事実として受け入れるしかないと言いつつも、次善策も提示する。

不勉強にして著者の存在を知らなかったが、既得権益に全く配慮せず、中立で語れるところに説得力を感じる。

これを読めば、今の日本の電力供給の問題点が総観できる一冊。


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