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書評 183 「ユービック」

SF界の巨匠の一人、フィリップ.K.ディックの著書。2014年のSFマガジンで同氏の著作人気投票において1位になったと帯に記載。

エスパーものの様に始まるが、エスパーの活躍は出てこない。中盤に入ってからは極めて特殊な状況設定になっていくが、それは現実世界のものでは無い。しかし、それがわかる様でなかなかわからない描写が上手い。それ故に映画化には一工夫が要りそうだ。(実際、まだ映画化されていない)

時間がストーリーの大きな要素になっているが、その描き方が面白い。主人公たちがタイムスリップするのではなく、環境が不連続に変わっていく中で対処していく。近年は小説、コミック、映画でよく出てくるネタではあるが、1969年としては斬新だったのではないか。いくつかの売れた映画に本作が影響を与えているようにも感じる。

少々ストーリー展開についていくのに手間取るが、読み終えた時に発想の面白さを味わえる一冊。

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