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書評 203 「日本アニメの革新」

日本アニメの歴史解説本は作品のストーリーや設定、いわゆる世界観とかターゲット層に視点をおいたものが多いが、本書は違う。

もちろんその視点も持っているが、制作方法や製作側の経営方針、経営の背景などに言及している。昭和中盤生まれとして「テレビ漫画」の時代からリアルタイムで体験してきた者としては、首肯できるものが多い。

気になったのが「受容」という単語の頻出。需要の誤植では、と思った。実際、素直に読むと需要の方が当てはまる箇所がある。しかし、「需要」も文中に使われているので、意図的に受容を使っている様だ。明言されてはいないが、恐らく著者の考えはこんなことではないか。つまり、そもそも需要があるかどうかわからない市場(社会)に作品を投入して、それが受け容れられた。受容されたことによって、初めて需要が生まれる、と。

終盤で新海誠の評価が少々過剰に思えるところもあるが、日本アニメに理解が深まる一冊。


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